今、パンがブームです。全国各地のその土地・その店ならではパンが人気を集め、遠くから買い求める人も。

「地域に根づいた、昔ながらの懐かしい雰囲気のあるパンを“地元パン”と名づけ、食べ歩く日々を送っています」と語るのは、エッセイストの甲斐みのりさん。全国のご当地パンをまとめた『地元パン手帖』という書籍も出しています。

今回は、石川県輪島市の「ニューフルカワ」のパンを紹介していただきました。なんと、イカの塩辛が入ったパンも…!?

地元パンめぐり
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イカの塩辛が入ったパンや、栗あん入りのメロンパン…。輪島朝市の人気者・ニューフルカワ

パン好きが高じて楽しみにしているのが、旅行帰りの友人から、その土地で出合ったパンのおみやげ話を聞くこと。最近では私の地元パンへの熱量がすっかり知れ渡り、写真を送ってくれたり、日もちがするパンを買ってきてくれる人もいます。

少し前に、石川県輪島市を旅する友人から届いたのが、「朝市通り」と呼ばれる商店街で、毎朝開催される「輪島朝市」の写真。

私も過去に4回ほど訪れたことがあり、ホットケーキのような生地にササゲ豆を入れた「こっぱ焼き」なるお菓子に釘づけでした。

今回、友人が教えてくれたのは、パンの出店。「『塩辛ぱん』を見つけたよ!」と、パンをにっこりほおばる姿が添えられています。

輪島朝市の名物として、テレビや雑誌にも取り上げられているというイカの塩辛パンを販売しているのは、「ニューフルカワ」の出店。通常は「ファミィ」というショッピングセンターに店舗をかまえるパン屋さんです。

ほかにも「UFOぱん」や、栗あん入りの「メロンぱん」があるとの知らせ。いつか食べてみたいと夢みていたのを、とうとう味わうことができました。

●イカの塩辛とジャガイモのすてきな出合い!

ニューフルカワの創業は、今から35年ほど前。現在の社長夫婦が、珠洲市のパン屋「古川商店」で働いていたことから名づけた店名です。

社長夫婦は古川商店で学んだことを大事に生かしながらも、配合を新しく考えたり、材料を見直し、小麦粉や塩にこだわったりと工夫。輪島市に根づくパン屋として愛されてきました。

塩辛ぱん

そんななか、「塩辛ぱん」を生み出したのは、娘夫婦。

岐阜県出身の娘の夫が輪島にやってきてもっとも感動した食べものが、朝市に並ぶ、おばちゃん手づくりの味・麹漬けのイカの塩辛だったそう。この塩辛でパンをつくれないかと試行錯誤し、もっちりとした生地に、ジャガイモと塩辛を合わせたところ、大評判になったのです。

こちらは輪島朝市の出店や、通常の店舗で入手できます。輪島の定番パンを、朝食やおやつや、お酒のおともに!

ニューフルカワのレトロとモダンが同居するラインナップ

名物「塩辛ぱん」や、ケーキみたいな「ウエハース」、栗あん入りの「メロンパン」…。ニューフルカワのおすすめパンを全部食べてみました。

●輪島のおばちゃん定番の味「塩辛ぱん」

塩辛ぱん

輪島朝市の名物パン。もっちりとしたパン生地の中に、輪島のおばちゃんお手製のイカの塩辛とジャガイモが。

うま味がつまった塩辛の塩気と、ジャガイモが絶妙な相性。麹がイカのうま味を引き出し、パンとジャガイモが塩気を程よくマイルドにしています。

お茶がすすむだけでなく、お酒にも合いそう。

 

●能登の卵でふわふわカステラ「ウエハース」

ウエハース

昭和の時代には、多くのパン屋さんがつくっていたウエハースパンも、今ではすっかり貴重な存在に。

ウエハース

能登の卵にこだわってつくるふわふわのカステラを、ウエハースではさんでいます。

●子どもも喜ぶ未確認飛行物体型「UFOぱん」

UFOぱん

その名のとおり、UFOの形をしたユニークなパン。

表面を覆っているのは、さっくりとした食感のクッキー生地。中にはたっぷり、カスタードが入っています。

●じつはお店の人気ナンバーワン!「豆ぱん」

豆ぱん

しっとりやわらかいパン生地の中に、たっぷりゴロゴロ、金時豆が入っています。

ほのかに甘い豆の後味にうっとり。

●珍しいマロンあん入り「メロンぱん」

メロンぱん

一見、一般的なメロンパンに見えますが、中には栗あんが入っています。

先代から変わらない、懐かしくもほかにない珍しい味。

●買いもの袋も、センチメンタルな気分になる昔懐かしいレトロデザイン

ほっとなごむマークが入った、袋のデザインにも注目を。

レトロデザイン

ビニール袋はロマンチックなバラの花。レトロで華やかなデザインです。

レトロデザイン

パン袋には、チャーミングなにっこり顔の太陽。取っておきたくなるかわいさです。

●今回の地元パン

・店名 ニューフルカワ
・住所 石川県輪島市宅田町7-37
・電話 0768-22-6915
・営業時間 9:00~20:00
・定休日 なし

【甲斐みのり】

静岡生まれのエッセイスト。大阪、京都と移り住み、現在は東京にて活動。旅、散歩、お菓子、地元パン、手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨などを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。まち歩きや手みやげ講座など、カルチャースクールの講師もつとめる。著書は

『地元パン手帖』

(グラフィック社刊)、

『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』

(エクスナレッジ)、

『全国かわいいおみやげ』

(サンマーク出版)など40冊以上。ホームページ

「loule」

とインスタグラム

@minori_loule

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