家計における教育費の負担が大きくなっていると、問題になっています。子どものためによかれと思って教育費をかけすぎることが、将来的に家計を圧迫するおそれも。
ここでは、「けっしてぜいたくしていないはずなのに、なぜか貯まらない」という家計を、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに診断してもらいました。
ぜいたくをしていないのに、貯蓄が増えず、教育資金が心配です
【相談者】
南香苗さん(仮名)、神奈川県・38歳(専業主婦)
夫37歳(会社員)、長女10歳、長男9歳
【お悩み】
子どもをバレエや英語、ダンスなどの習い事に通わせています。周囲の家庭と比べてもぜいたくしていないはずですが、ここ数年毎月の貯蓄ができません。来年から長女が塾に通うので、さらに2万円の支出増に。大学資金はたりますか?
【南さんの家計収支】
夫の月収(手取り) ¥360,000
児童手当 ¥20,000
収入合計 ¥380,000
住居費 ¥85,000
食費 ¥56,000
外食費 ¥10,000
←check1電気料金 ¥7,000
ガス料金 ¥6,000
水道料金 ¥5,000
通信費(固定電話・プロバイダー) ¥5,000
(携帯電話2台分) ¥13,000
(NHK受信料) ¥2,500
新聞代 ¥4,000
日用雑費 ¥10,000
レジャー・交際費 ¥10,000
←check1子ども費(学校教育費) ¥10,000
←check2(塾・習い事) ¥60,000
←check2クルマ費(ローン含む) ¥ 40,000
こづかい(夫) ¥30,000
(妻) ¥5,000
生命保険料 ¥32,000
学資保険料 ¥16,000
←check3貯蓄 ¥0
支出合計 ¥406,500 収支 −¥26,500ボーナス収入 ¥800,000
現在の貯蓄 ¥2,900,000
高3から増える出費に備え、これ以上の教育費負担はNG
現在、南さんが準備できている教育資金は、学資保険の350万円。加えて貯蓄が290万円ありますが、赤字が続くと大学までに底をつきそうです。
とくに気をつけなくてはいけないのは、入学前にかかる塾代や受験料。高校3年生で塾に通い、夏・冬の講習も受け、10校程度受験すると100万円以上かかります。
2人の子どもが高3になるまであと8、9年しかないと考えると、塾代や受験料が少なくすむ推薦入学も視野に入れて進路を考え、貯蓄も増やしておきましょう(check3参照)。
将来の教育資金を貯めるために、今は教育費を抑えるべきときです。塾以外の習い事は1つにして、現状の6万円をキープ。生命保険は割安なものにかけ直して、2万円減に。食費と日用雑費、レジャー・交際費も使い方を見直し、2万5000円カットを。
全部の見直しで、2万円貯められます。クルマのローンが終わったら、その分も貯蓄しましょう。
【check1】食費、日用雑費、レジャー費は、予算分以外は使わない習慣を
食費は外食代も合わせて、5万円に。週予算8000円×5週+予備費(米代など)でやりくりしましょう。
“なんとなく買い”で膨張している日用雑費も、メモを持って必要なものだけ買って6000円に。レジャー費もメリハリをつけて5000円カットすれば、全部で2万5000円減に。
月初に必要なお金だけ口座から引き出して、それ以上使わない習慣をつけて。
【check2】高3でかかる教育費に要注意。推薦入学も視野に入れて準備を
教育資金の意外な落とし穴は、高3の教育費。
塾代が月5万~6万円+夏・冬の講習約15万円×2回で、年90万~100万円程度に。加えて受験料が一般入試で1校3万5000円、1回の試験で複数学部の合否が決まる試験は5万~6万円など、8~10校受けると30万~40万円かかり、学資保険をここで使い果たす家庭は少なくありません。
一方で、今は私立大学の半分近くが推薦入学で、その場合受験料は1校分ですみます。高校進学時に、行きたい大学への推薦がある高校を選ぶのもひとつの方法。
将来の教育費を優先し、今はこれ以上の教育費アップはNG。
【check3】生命保険の見直しで2万円減。学資保険は大学入学まで死守!
今の生命保険は貯蓄性がありますが、死亡保障が不足しています。思いきって解約して、かけ捨ての保険で3000万円を確保。保険料も約2万円減らせます。
大学資金としてとっておきたい学資保険はこのまま続けましょう。食費や教育費が増えたら、貯蓄をきり崩してでも学資保険を死守して。