家庭や職場でいやなことがあったとき、あなたならどうしますか?
とある温泉街の焼きそば屋さんには底抜けに明るい店主がいて、客の気持ちを軽くしてくれるそう。

いったいどんなお店なのでしょうか。読者が体験した、500円にまつわるほっこりするエピソードです。

落ち込んだ日の特効薬は、“カヨちゃん”の笑顔と焼きそば!

500円の幸せ

(栃木県・66歳)

仕事でしくじったとき、ささいなことで夫とケンカしたとき、シュンとなってイスに座り、ぼんやり天井を見つめる。

そうだ、「カヨちゃん」の店へ焼きそば食べに行こう。黄色の小さなガマグチに五百円玉が入っているのを確かめて、出発!

●温泉街にある焼きそば店。メニューは焼きそばとお好み焼きだけ!

そのお店は、わが家からクルマで20分、温泉街のはずれにある。水曜から土曜まで、朝11時から夕方5時まで営業しているが、売りきれになると3時半頃には店じまいしてしまう。

お客さんには温泉旅行の若いカップル、中高年のおばちゃんグループ、ときにはイケメンの若者グループも。
「十数年前に食べた味が忘れられなくて、また来たよ」という老紳士がいたり、地元ではなかなかの繁盛店なのだ。

ガラス戸をあけると、「いらっしゃーい」とカヨちゃんが弾む声と笑顔で迎えてくれる。
メニューは、焼きそばとお好み焼きだけ。カウンターに座り、500円の焼きそばを注文する。
豚バラ肉、干しエビ、キャベツたっぷりと、中身はいたってシンプルだ。「卵は大丈夫?」と、サービスで目玉焼きをのせてくれることも。

●店主のカヨちゃんは底抜けに明るい人柄。話を聞いてもらって心が軽く!

60代半ばのカヨちゃんは、カウンター4席、テーブル1卓のコンパクトなこの店をひとりできり盛りしている。
私が店にいる間にも注文の電話はひっきりなし。カヨちゃんは休むことなく焼きそばを焼き、持ち帰り用にパックにつめていく。

私の世間話やグチも「うんうん、そうなんだ」「そうだね」と聞いてくれる。私は焼きそばと一緒に、いらついた気持ち、切ない気持ちものみ込んじゃう。
おなかがいっぱいになり、心は軽くなっていく。「また来てね。気をつけてね」に送られて店を出る。

カヨちゃんは、焼きそばとお好み焼きだけじゃなくて、底抜けに明るい人柄も一緒に売っているんだとつくづく思う。
私も帰り際には、「ごちそうさま」に加えて、最近おもしろかった出来事を話し、最後はとっておきの冗談を。
カヨちゃんも、いあわせたお客さんもどっと笑う。これは、元気をもらったお礼のつもり。

「さぁ! 仕事がんばるぞー」