アメリカ・シアトルに住んで十数年。エディター&ライターとして活躍するNorikoさんに、現地で話題のフードやライフスタイルにまつわる情報を届けていただきます。今回は、ますます進化するアメリカの発酵グルメをご紹介!

発酵製品がアメリカで人気
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アメリカでまだまだ続く発酵食品ブーム

 みそにたまりじょうゆ、コンブチャ(紅茶きのこ)…。日本でおなじみの発酵製品がアメリカで人気となっています。

 健康や美容によいと、ミランダ・カーなどのセレブがこぞってダイエットがてら愛飲するコンブチャは、今やシアトルではスーパーマーケットやカフェ、レストラン、バーでも提供されるほどに浸透。味噌やたまり醤油も、スープやオムレツなどの隠し味として、当たり前のように使われています。

 最近、カフェに行って気になったのは、自家製ココナッツヨーグルト。この発酵に使われているのが、なんと「とぎ汁」だと言うのです!

とぎ汁を発酵させるのがトレンドに

 乳製品を取らないダイエットが流行するアメリカで、牛乳を使わないココナッツヨーグルトづくりは徐々に浸透していたのですが、その材料となる乳酸菌に、とぎ汁を使うのがよりナチュラルと評判に。

 正確にはとぎ汁というより、「スプラウト・グレイン」と呼ばれる発芽穀物、つまり玄米や麦、キヌア(南米産の穀物の一種)が発芽した状態のものを浸した水。そのままひと晩発酵させて、ココナッツクリームと混ぜれば、ヨーグルトっぽく発酵するというわけです。この発酵エキスは「リジュベラック」といい、健康のためにそのまま飲む人も少なくないようです。

とぎ汁を発酵させるのがトレンドに
発酵中のリジュベラック。穀物を水に浸してつくります

これから家庭でもリジュベラックづくりが浸透!?

 穀物を発芽させるには、半日置きに水を取り替えて2、3日かかります。発芽させるまでに使った水は、捨てる人もいれば、リジュベラック同様に活用する人もいます。口に入れないまでも、とぎ汁の昔ながらの活用法にならい、植物の水やりや掃除に利用すると無駄がありませんね。

 発芽した穀物を水と合わせるとプツプツと泡立つので、「菌が活動しているな」とわかります。容器は密閉せず、布で口を覆い、空気に触れるようにします(発芽までも同様に)。ひと晩経ったら、できあがり。冷蔵庫に入れれば、長期保存も可能とされています。

ヨーグルトづくりにチャレンジ

 正直、そのまま飲んでもあまりおいしくはありませんので、お茶やジュースと混ぜても。ヨーグルトにするなら、ココナッツクリームのほか、豆乳でつくる人も。

 アメリカではとにかく発酵食品が健康、美容、なんにでも効くと、まるで無敵のパワーを持つかのようにもてはやされています。もちろん、実際はそんなに単純な話でありません。あくまで、ひとつのブームとして考えたほうがよさそうですね。

※リジュベラックづくりをする際は、専門家の指示に従うか、専門家によるつくり方を参照するようにしましょう

【Noriko】

アメリカ・シアトル在住。現地の日系タウン誌編集長職を経てフリーランス・エディター/ライターとなり、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『

アメリカ西海岸ママ~日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産~

』(海外書き人クラブ刊)