マイホーム購入は、人生のなかでも大きなできごとです。家族の夢が詰まった買い物である一方、たいていの場合、その後の人生には「住宅ローン」という現実的な出費が待ち受けています。とくに、それまで社宅などに格安で住んでいた場合、急に増えた住居費の支払いが追いつかず、家計が赤字になってしまうケースもあるようです。
今回のESSE読者の相談内容は、「住宅ローンの返済に追われて、家計が赤字化しています。この状況で、子どもを私立に進学させることは可能でしょうか?」というもの。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、家計診断とアドバイスをしていただきました。
マイホーム購入で、住居費が急増。子どもを私立に進学させるのは無理でしょうか?
【相談者】
川本奈緒子さん(仮名) 東京都・41歳(パート)
夫43歳(会社員)、長男11歳、二男7歳
昨年、マイホームを購入。住居費が社宅時代の2万円から11万円に急増したのに、出費は変わらず毎月10万円超の赤字に。どうすれば貯蓄できますか? また、長男が公立の中高一貫校に入れなかった場合、私立に行かせるのは無理でしょうか?
【川本さんの家計収支】
<収入>
夫の月収(手取り) ¥360,000
妻の月収(手取り) ¥30,000
児童手当 ¥20,000
収入合計 ¥410,000
<支出>
住居費 ¥110,000
食費 ¥90,000
外食費 ¥30,000
電気料金 ¥5,000
ガス料金 ¥3,500
水道料金 ¥4,000
通信費(携帯電話4台分) ¥10,000
(固定電話・プロバイダー) ¥10,000
(NHK受信料) ¥2,500
新聞代 ¥3,600
日用雑費 ¥30,000
レジャー・交際費 ¥30,000
←check3子ども費(学校教育費) ¥15,000
(塾・習い事) ¥53,000
クルマ費 ¥40,000
こづかい(夫) ¥30,000
(妻) ¥5,000
生命保険料(夫婦) ¥35,000
養老保険料(妻) ¥10,000
学資保険料(長男) ¥5,000
収支 -¥111,600
ボーナス収入 ¥1,000,000 ←check2
現在の貯蓄 ¥2,000,000 ←check2
高すぎる住宅ローンが赤字の元凶。私立に進学させたいなら覚悟をきめて
川本さんの住宅ローンは総額4200万円で、手取り年収の8倍にも達しています。適正な借入額は多くても手取り年収の6倍ですから、オーバーしています。言い換えれば、住宅費以外の出費を相当引き締めないと、なかなか貯蓄できません。
まず、食費。単身赴任中の夫の食費が別途2万円かかるそうですが、それでも12万円は多すぎます。週1万円を目標に、月5万円カットを。夫が赴任先から毎週帰宅してかかる4万円のクルマ費も、月2回に減らして半減。さらに、3万円ずつかかっている日用雑費とレジャー・交際費は、使ったお金を全部書き出してムダをチェックし、1万円ずつに減らせれば、赤字が埋まります。
実際にトライしてみて、どうしてもできない場合は妻の収入を増やすのが現実的。子どもを私立に進学させたいなら、出費を引き締めたうえで、妻も正社員として働いて収入を増やさないと難しそうです。
●【check1】多すぎる食費は週単位で管理し、5万円カット!
外食代を含めた食費合計は12万円で、夫婦の手取り月収の3割超。適正な食費は16%以内(6万円程度)です。夫の単身赴任先の食費2万円は別にして、週1万円×5週でやりくりしましょう。
財布に毎週1万円を入れて、残金を確認しながら買い物すればムダ買いは必ず減らせます。余らせれば、その分で外食もOK! ゲーム感覚でトライしてみて。
●【check2】私立中学に行かせるなら、妻が正社員として働く覚悟を
長男は公立の中高一貫校を受験中で、失敗したら私立に行かせたいと思っている川本家。でも、私立中学は、学校納入金だけで年間100万円が必要。現状の家計では、ボーナスがすべて学費に消え、今ある貯蓄もすぐに底をついてしまいそうです。
高校の学費や大学資金を考慮すると、妻が正社員になって年収200万円以上稼ぐ覚悟が必要。
●【check3】夫婦で話し合い、週末の過ごし方を見直して
関東近県に単身赴任中の夫は、毎週末高速道路を使って帰宅し、クルマ費が4万円。さらに、家族でショッピングモールに行って遊んで、日用雑費やレジャー・交際費も3万円ずつと膨張。夫婦で話し合って、夫の帰宅を2週に1回に減らす、ショッピングモールは月1回などとルールを決めて出費を引き締めましょう。
赤字解消には、3つの費目で6万円減がマストです。どうしても減らせないなら、妻がパート時間を増やして収入アップを図りましょう。