東洋医学で昔から治療に使われてきたツボに熱の刺激を与えることで、さまざまな治療効果をもたらすお灸。皮膚の温度をピンポイントで50~70℃に温めて血流を促し、体の元気がないところを活性化する効果があります。

「冷えや生理痛、肩や腰の痛みなど、血行不良からくる女性の悩みを改善するのに、お灸はぴったり。本来はもぐさに火をつけて行いますが、セルフケアとして行うには手間。そこで考えたのがペットボトル温灸です。ホット専用ペットボトルにお湯を入れて行うので、だれでも手軽にできて火も使わず安全。当たる面が広いため、高度な技術がなくてもツボ周辺に当てることができ、効果を得やすいメリットもあります」と鍼灸師の若林さん。
 今日からできるセルフケアで体の不調を改善し、寒い冬も元気に乗りきりましょう!

血流をよくし、体を温めるペットボトル温灸は女性におすすめ

ホット専用のペットボトル
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【準備するもの】

●ホット専用のペットボトル

オレンジ色のキャップがホット専用ペットボトルの目印。それ以外はお湯の熱で変形することがあって危険なのでNG

●お湯の温度は80℃に

水100mlに沸騰したお湯200mlを入れるのが目安。必ず先に水を入れること。売っている温かいペットボトル飲料を使う場合、買ってすぐ使えばギリギリ効果が得られる温度です

【やり方の基本】

ツボ付近にペットボトルを押し当て、3~5秒キープ。アチッと思ったら離すのを、3~5回繰り返して。冷え性の人や、場所によっては何度か繰り返さないと熱さを感じない場合も。厚手の服は避け、軽装で行います

【1】ペットボトルの底のきわをツボに当てる。体の面に当てる際は底面や側面を使用

【2】アチッと思ったら離すのを3~5回

【3】1セット1~2分程度が目安

腰痛をラクにするペットボトル温灸のやり方

 冷えると血流が滞って痛みが出るタイプの腰痛に効果的です。慢性の腰痛なら、痛みがそれほどでもない日でも毎日続けると効果アップ。痛みが片側だけでも、必ず左右両方行います。

【1】おへそから恥骨結合(恥骨の出っぱりの真ん中あたり)を結ぶラインを、上から下へ、ペットボトルの底面を数回に分けて押し当てる。アチッと思ったら離すのを、何度か繰り返して

上から下へ、ペットボトルの底面を数回に分けて押し当てる。

おへそから恥骨結合を結ぶラインを数回に分けて

【2】ペットボトルを横にして床に置き、ひざ裏の「委中」というツボにペットボトルの側面を押し当てて。アチッと思ったら離すのを数回繰り返し、左右行う

ひざ裏の「委中」というツボにペットボトルの側面を押し当てて。

委中(いちゅう):ひざの裏側の線の真ん中

【3】最後は痛みのある場所に直接ペットボトルの側面を当て、アチッと思ったら離すのを数回繰り返し、左右行う。
ペットボトルが2本あれば、同時に行っても

最後は痛みのある場所に直接ペットボトルの側面を当てる

痛みのある場所に当てる

※ペットボトル温灸は病気を治療するためのものではありません。また、妊娠中や妊娠の可能性がある場合、持病がある場合、痛みがある場合などは、事前に医師と相談のうえ、行ってください

※ペットボトル温灸を一度に行うのは「肩こり」と「冷え性」など、2セットぐらいまでに。やりすぎるとかえって体がだるくなったりするので注意して

【鍼灸師 若林理砂さん】

「アシル治療室」院長。初診予約は2年以上先になるほどの人気。東洋医学や古武術にも通じる。著書に『

安心のペットボトル温灸

』(夜間飛行刊)ほか多数