がんばっているつもりの節約が、じつは裏目に出ている…というのはよくある話。努力の方向性がまちがっていると、かえってマイナス効果を生んでしまうことがあるんです!

節約主婦
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夕食抜きの過激節約で体調不良に…

 齋藤明美さん(仮名・45歳)は夫(49歳)と子ども(12歳)の3人家族。パートはしているものの、平日の日中は在宅していることが多く、本人いわく「ほとんど専業主婦のようなもの」という状況です。

 夫の月収、パートの収入を合わせれば、月の手取り額は35万5000円。年2回の賞与を考えれば、ほかの家庭と比較してもごく平均的な収入といえます。 ところが、齋藤さん宅の家計は完全な自転車操業におちいっていました。

 取材時の齋藤さんは、すらりとした高身長ながら、やせて顔色も悪く、不安げな表情が印象的でした。聞けば、夕食をほとんど食べていないのだそう。「ムダづかいしているつもりはないのに、毎月、赤字が積み重なってしまうんです。少しでも節約しようと、自分の夕食は抜くようにしていて…」(齋藤さん)

 当然、慢性的な体調不良が続いていて、昨年は体を壊して倒れてしまったそう。かなり危機的な状況でした。

カードの分割払いでローン地獄

 きっかけは、数年前に夫が子会社に出向し、年収が約60万円ダウンしたこと。それまで、やりくりを考えたこともなかったという齋藤さんは、なぜか給料日前に手もちの現金がなくなるという事態に直面し、たりない生活費をクレジットカードで補てんするようになりました。「毎月の生活費の上限額を決めておき、それをオーバーする分は、あとから『分割払い』に設定し、翌月、翌々月に支払いを回すようにしています」。

 3回払い、6回払いなど、分割払いにすることで毎月えんえん支払いが続く負のスパイラルに!そのうえ、分割手数料までかかって、家計は破たん寸前です。

出費の原因は、完璧主義!

 そもそも生活費がかさむ原因は、齋藤さんのなんでも背負い込んでしまうクセにありました。

「料理が苦手で、余ったものでなにか1品つくるということができないんです。だから、毎日、メニューを決めてから買い物に行くんですが、半端な食材は結局ムダになってしまうことが多くて…。 それに、夫が、小鉢がたくさん並んだ食卓が好きなので、肉や魚、野菜と種類豊富にしようと思うと、つい割高な総菜に手が伸びてしまう習慣が抜けません」

 月の食費の正確な額は把握していないそうですが、買い物1回にかかる金額は平均3000円程度。それが毎日続くことで知らず知らず、出費がふくれあがっていきました。

では、どうすればいい?家計のエキスパートが改善策を提案!

 がんばっているつもりがことごとく裏目に出てしまった齋藤さん。「ギリギリ家計」を立て直す方法はないか、1万人以上の家計の悩みを解決してきたファイナンシャルプランナー・横山光昭さんが家計を診断してくれました。 横山さんからの提案は以下の通りです。

●カード払いから脱却

「なによりもまず、分割金利をなくすことが大切。ムダを削って手元の現金を増やし、カード利用を徐々に減らしていきましょう」

●流動費より固定費に目を向ける

「ムリして夕食を抜いて食費を浮かそうとする『流動費』の節約よりも、住居費や保険料などの毎月決まっている『固定費』を見直す方がストレスなく家計のムダをなくせます」

 横山さんが指摘した、齋藤さんの改善すべきポイントはまだまだある様子。さらなるくわしい診断は

ESSE10月号

の「“ビンボー習慣”をやめれば もっと!お金が貯まる」にあるので、こちらもチェックを。お金が貯まらない生活習慣=ビンボー習慣の改善に成功した読者や、さらに手ごわいケースも載っています。

横山光昭さん
横山光昭さん