いつか必ずやらねばならない「実家の片づけ」。最近では夏休みなどの帰省の機会を利用して、両親が元気なうちから、徐々に手をつけておこうと考える家族も。ただ、ものを少なくする親の方に心の準備ができていない、などの理由からトラブルも!!なにから手をつける?親をどう説得する?親の気持ちを尊重しつつ、片づけに成功するための7つの心得を、整理収納の専門家、古堅純子さんに伺いました。
すべての画像を見る(全2枚)【実家の片づけ】知っておきたい7つの心得
【その1】買うなと言うと買う、捨てろと言うと捨てないのが親と理解する
「買うな」「捨てるな」は厳禁。簡単にものが手に入らなかった世代はものを捨てません。また、子どもや孫へ買い与えることは人生の喜びなのです。元気なうちに死ぬことを考えて片づけを始めないのは当然で、「いつかやればいい」「疲れるから面倒」という気持ちも理解しましょう。
【その2】コミュニケーションはこまめにとっておく
久しぶりにやってきた子どもから片づけの提案をされると、拒否反応を起こすということを肝に銘じておきましょう。普段からこまめに電話する、親だけでなく兄弟などにも片づけの相談をするなどして、時間をかけ、周りからも話をしておくことが大切です。
【その3】理想の暮らしを想像させる
親の重い腰を上げさせるためには、理想の暮らしを想像させるのがいちばん。「人を呼べる家になるよ」「片づけたら好きなものを飾れるよ」などポジティブなイメージをもたせて。会話をするときもなにを捨てるかより、なにを残したいかを聞くようにしましょう。
【その4】判断に時間がかかることを理解する
親の世代はとにかく捨てたがらず、いざ捨てるとなっても判断に時間がかかるもの。片づけを始めたら、少しでも判断に迷うものはいったんそれらをまとめておき、判断させる時間を十分にとることを心がけて。整理だけしておけば案外捨てることもいとわなくなるものです。
【その5】それぞれの親の意見を尊重する
片づけを始めると、「こんなの使わないでしょ」「いつ使うのよ!」と自分の気持ちが先に口に出てしまい、親が「捨てたくない」「触らないで」と言いだしてケンカに発展しがちです。面倒でも父親、母親それぞれの意見を別々に聞き、親の気持ちを優先して片づけを進めましょう。
【その6】こだわりのなさそうなものから始める
片づけを思い出の品から始める人は少なくありませんが、実はそれが失敗の原因になることも。というのも、思い出に浸ってしまい、作業が進まないことがよくあるからです。洗面台の下など親も比較的こだわりがなさそうなところから始めると、スムーズに進みます。
【その7】大きなものから処分する
洋服一着と紙一枚は重さも違いますが、片づけるには同じだけの判断の時間と労力がかかるものです。人は空間がすっきりしないと達成感を感じることができません。達成感を得ながら片づけを進めるには、小さいものより、大きく見た目も変わるものから始めましょう。
知っておくと便利!心を動かす会話術
親をその気にさせられれば、片づけは成功したも同然です。そのための会話術をあわせて紹介します。
親:「時間ができたら(涼しくなったら)やるから大丈夫!」「元気なうちは手を出さないで!」
子:「面倒なことだから今やろう」「体が動くときに判断しないとあとでもっと大変になるよ」
面倒くさがる気持ちには、理解を示しましょう。そのうえで、ものはどんどん増え続けるから、今やることがいちばんラクな方法だということを伝えます
親:「思い出があるから捨てられない」
子:「もし亡くなったときにどれを遺すか選んでもらってもいい?」
どれを捨てるか迫っては×。知りたいのは、どれが大切なのか、どれを遺したいのか。今聞いておけば、もし亡くなったときにそれを遺せることを強調して
親:「いつか使うかもしれないから捨てられない」
子:「使いやすいように整理するから、よく使うものを教えて」
「捨てる」ことよりも先に暮らしやすくなるように、あふれるものを「整理」して、よく使うものがどれなのか教えてほしい、とアピールしましょう
親:「人からもらったものだから捨てないで」
子:「大切なら飾ろう」「しまい込むことは大切にしていることじゃないよ」
押し入れの奥に眠らせていたら、もってないのと同じ。大事にしているなら、なおのこと飾ってあげることでものを生かしましょうと伝えること
親:「片づけたら落ち着かないからそのままにして!」
子:「このままだと危ないよ」
「私もこれにつまずいて転びそうになった」など、「年だから危ない」のではなく、危険性がだれにでもあることを伝えるなど親のプライドに注意して
【古堅純子さん】
幸せ住空間セラピスト。キレイ好きが高じて掃除会社へ入社し、2000軒以上のお宅を訪問し、整理収納のメソッドと技術を確立。著書に『
生前整理~人生の衣替え』『
両親の家の片付け方』など