●イケアにニトリ、無印良品が大人気!
収納・インテリア人気を支える存在として、イケアやニトリ、無印良品の存在も無視できません。
すべての画像を見る(全13枚)「無印良品は以前からずっと人気がありましたが、イケアやニトリの台頭により、価格は手頃でもおしゃれで実用的な家具や収納グッズが全国どこでも手に入るようになりました。ESSEでも、この3社の収納グッズ特集や実例特集を定期的にやるようになりました」
ちょうど、ファッションではユニクロやH&M、フォーエバー21などが世界的に人気を集め、プチプラでもデザイン性の優れたものが手軽に手に入るようになった時期と重なります。
「僕が編集長をしていた5年間は、いろんな意味で過渡期だったと思います。スマホが普及し始め、主婦の間でもネットで様々な情報を得るのが普通になっていきました。とはいえ、まだまだ紙から情報を得る人も多くて、ネットに負けないようにたくさん情報を入れ込もうとか、ネットでは手に入らないような情報を載せようとか、競っていたようなところがありますね(笑)」
「読者の生の声を反映させたいと、ESSEレポーターの方にもたくさん登場していただきました。主婦のあり方も変わってきて、最初は読者の多くが専業主婦だったのが、パートタイムなどで働く人が増え、途中で働く主婦の割合が専業主婦を上回るようになりました」
●シリコンスチーマーが大流行。付録にもなりました
雑誌に付録をつけるのも、ブームになりました。
「シリコンスチーマーが流行し、2011年12月号では、初めてシリコンミニドーナツ型の付録をつけました。この号は大好評で完売したので、すぐに次を企画して翌年の6月号でシリコン製ハート型ココットをつけたのですが、こちらは完敗(笑)。付録をつけるには半年前から準備が必要なのですが、その半年の間に100円ショップでもシリコングッズがたくさん売られるようになり、おトク感がなくなってしまったのです」
●夢のある雑誌にしたい。でも求められているESSEの形もありました
小林編集長時代のESSEは、お金特集や節約特集は少なめでした。ただ、後半は少しずつ、お金の特集も増え、「オカネーゼ」と名づけて節約の達人が登場したり、おトクなクーポンがついたりしています。
「当初、僕は『ESSE』を、主婦にとって“夢”がある雑誌にしたいという気持ちが強かったんです。料理をしたり、家を整えたりするのは、もちろん日々の現実ではあるのだけれど、こんな暮らしがしたいという夢の部分でもあると思うんです。だから、細かい節約とか、100万円貯めるとかっていうのは、あまり全面に出したくない気持ちがありました」
「ただ、『ESSE』は当時新年号で80万部を発行するような、たくさんの読者に支えられている雑誌。求められているのは、そこでだけではないということも、ひしひしと感じました」
「こういう雑誌にしたいという思いもあるし、常に新しいこともやらなくちゃいけないということもある、そして、なにより読者に愛される雑誌でなければいけなくて、あがいていました。スタッフも大変な思いをしていただろうと、反省だらけです」
「そして、不思議なことに、制作側が全く違うアプローチをしようともがいてみても、気がつくと『ESSE』という形に戻っている、形状記憶合金のような雑誌なんです(笑)。それが、日本で最大部数を誇る生活情報誌『ESSE』の重さなのかなと思います」