日々の暮らしに忙しくて、ついつい先送りにしがちな老後のこと。どのぐらいお金がかかるの? わが家の貯蓄で大丈夫? と、不安を抱えている人も多いのでは?
そこで今回は、実際に年金生活を送っている人を直撃取材! そのリアルな生活と家計のやりくりを紹介します。

夫婦と食卓
夫婦の年金暮らしの実情を聞きました(※写真はイメージです)
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【年金暮らしのリアル】事前準備と身の丈に合った生活がゆとりに

昨年3月、夫が68歳で退職したhiyodoriさん(仮名)。「70歳まで働くと言っていたので急な退職に驚きましたが、年金生活に備えていたので不安はなかったです」と話します。

●身の丈に合った暮らしをすることがなにより大切と実感

退職前には家を建て直して、老後の住まいを確保。さらに、クルマを2台から1台に減らし、飼っていた愛犬の死を機に費用のかさむペットの飼育も断念して、大幅な出費カットにも成功。
「動物好きでペットを諦めるのは寂しかったですが、1匹の生涯にかかる数百万円の費用を考えると、キッパリ諦める決心がつきました」

退職前に年金額も調べていたため、収入減も想定内で対応できたそう。
「現役時代よく買っていた洋服や雑貨、小物はさすがに買わなくなりましたが、そうなって初めて買わなくてもなにも困らないと気がつきました。よく行っていた外食も、今は息子夫婦とたまに楽しむだけで十分満足しています」

老後の暮らしというと、年金額だけでは少ないと思いがちですが、「年を重ねると、若い頃のようにお金はいりません」と話します。
「肝心なのは、身の丈に合った暮らしをすること。なにを捨ててなにを大事にするか、そこを見きわめることがいちばん大切だと思います」

<hiyodoriさん(仮名・兵庫県・60歳)のプロフィール>

イラスト夫婦

夫(69歳)と2人暮らし。家計は、会社で経理担当だった夫が担当。退職直後に驚いたのは、前年の収入で割り出される税金と健康保険料の高さ。ブログ「プリンの冒険日記」を公開中

<hiyodoriさん家のある月の支出表>

食費 55,000円
水道・光熱費 22,230円
介護保険費 17,100円
通信費(固定電話・携帯電話2人分・NHK受信料など) 37,865円
習い事費(妻)6,270円
日用雑費 10,000円
保険費(夫・妻・長男)34,541円
夫こづかい(医療費含む)30,000円
妻こづかい(医療費含む)40,000円

支出合計 253,006円

●老後までにやってよかった3つのこと

<1:もらえるお金を事前に確認>

夫の退職前に年金について勉強し、夫婦で年金事務所に出向いて年金額を確認。
「年金額がわかったことで、今の生活のなにがぜいたくで削れそうか、見直す覚悟ができました。おかげで、年金生活への漠然とした不安も解消」

<2:住居を確保して大きな出費を抑える>

イラスト家夫婦二人

老後ずっと安心して過ごすために、現役中に家を建て替え。

「高齢になって資金も意欲もなくなったとき、建て替えやリフォームが必要になるのは負担が大きすぎます。現役のうちに対応したことで、心のゆとりができました」

<3:夫婦それぞれ自分の居場所をつくる>

家の建て替え時にこだわったのは、夫婦それぞれの個室をつくること。
「年金生活では夫婦とも自宅にいる時間が増えるので、自分ひとりになれる場所が絶対に必要。お互い自分の部屋で好きに過ごせるから、夫婦一緒の時間も楽しく過ごせています」

老後の暮らしは、なかなか想像できないかもしれませんが、どこでどんなふうに暮らしたいかを考えておくと、備えておくべきものが見えてくるはず。準備する時間のゆとりがある今のうちに、夫婦でじっくり話し合ってみるのもいいかもしれません。