「ものだらけの実家を片づけたい!」そう思いながらも、片づけたくない親の気持ちを変えられず、先延ばしになりがちに。
ここでは、長年進められなかった実家の片づけを去年実現することができたという、整理収納アドバイザーのまいさんに「親自身が片づけを進めたくなるポイント」について教えてもらいました。
70代・80代親との片づけ。お互いに疲弊せずに進めるコツ
現在私は50歳。昨年、半年ほどかけて、76歳母と80歳父が暮らす実家の片づけをしました。子どもが独立してから住み替えた家なのに、ものであふれていた実家。
両親ともに「ものを捨てたくない」タイプで、長年片づけを進められなかったのですが、あるとき、雑談の流れで私が実家の小さな引き出し1つを整理したことがきっかけで、親も乗り気になり、ゆっくりと時間をかけて、家全体のものを減らし、整理することができました。
今回は、高齢の親と片づけを進める上で気をつけたこと、そして片づけたことで得られた意外な効果についてご紹介したいと思います。
●高齢の親がスムーズにものを手放せるようになる方法
スムーズに手放すきっかけになる、いくつかの方法があります。
・写真を撮る
写真を撮って見るとその雑然さに驚きます。荒療治ですが、見慣れた部屋を客観視できます。また、片づけた後は前の状態をすぐに忘れてしまうので、達成感を得るためにも片づけ前に写真を撮っておきましょう。
・欠陥を見つける
シミ・汚れ・ほつれなどは小さいと見えないようで、気づいていないことがあります。洗ったり修繕してまで持ち続けたいかで判断します。欠陥があるとあっさり手放してくれることがあるのでよく見てみましょう。
・着てみる
洋服は着てみると似合わない・サイズが合わない・古いデザインなどの違和感に気づくので、迷ったら鏡の前でどんどん着てもらいます。
・預かる(リサイクルショップに持ち込む、代わりに処分する)
いらないとわかっていても、使えるから新しいから「捨てられない」。そんなときは「もらっていい? もし使わなければ処分していい?」と聞いて預かるのも手です。新品のタオル・ハンカチ・食器などはリサイクルショップで売れやすいしフリマアプリに出品しても。自分の作業とものは増えてしまいますが、「譲る」なら捨てる罪悪感がないのでかなりスムーズに減らすことができます。
・ゴミ捨ての手配を代行する
家電や収納用品など、なにゴミで出せばいいかわからない、粗大ごみの手配が面倒という理由で放置することも多いので、親の代わりに確認や手続きをしてあげましょう。
●片づけで気をつけること
両親と片づけを進める上で気をつけたことがあります。
・親のペースでゆっくり進める
片づける約束をしても気がのらなかったり、なかなか始められないこともあります。お茶でも飲んでから、無理をせず親のペースに合わせて進めましょう。
・長時間作業しない(2~3時間)
長時間作業をすると疲れてしまい、次回のやる気が起きないことも。一回の作業は2~3時間に留めて、疲れが出ないうちに終わらせます。
・極端に場所を変えない
極端に場所を変えてしまうと、その後何度も間違えたりしてストレスになることがあります。収納場所は一緒に考えて、なるべく親の意向に沿いましょう。
・処分するものでもゴミ扱いしない
大切にもっていたものをゴミ扱いされたら悲しい気持ちになります。処分すると決めたものも、ゴミ袋に入れる時は丁寧に扱いましょう。
・捨てすぎない
一気に捨てすぎると喪失感が起きることがあります。あとで後悔しないように、悩むものは一度「保留」にするのも手です。
「無理に捨てなくていいよ」と常に声をかけました。
●実家の片づけの成功により、親子関係も良好に
実家の片づけがうまくいったとでよかったこともありました。会話が増え、思いも知ることができたことで、親子関係がよりよくなったように感じます。
年をとり、気力も体力も衰えつつあるので、親のペースで進めることが大事。
危なくないように暮らしやすいように「少しでも改善できればよい」と思うと、私たちもイライラせずに取り組めると思います。
じつは、今年に入って母の病気が発覚。父の足腰も、80歳を過ぎて急に弱くなってきました。去年の元気なうちに片づけておいて本当によかったと感じています。通院や治療は疲れるので、なかなか片づけをする気が起きません。
片づけが進んだら家の気になるところが見えてきて、照明を取り替え・トイレリフォーム・洗濯機の配置変え(工事を伴う)など行いました。片づけ前に比べるとかなり生活が改善されています。今年こそ、実家を片づけたい! と思っている方の参考になればと思います。