50代になると、これまで面倒でなかった「名もなき家事」や「ちょっとした作業」がおっくうになってくることがあります。そういった手間を見直すと、自分にとって本当に必要なことはなにかがわかってくることも。「わが家は秋の台風シーズンを機に、マンションのベランダの荷物をすべて撤去しました。ものがなくなったら、手間もなくなり快適です」と話すのは、整理収納アドバイザーの藤野ことさん。どんな面倒をなくしていったのかを教えてもらいました。
すべての画像を見る(全4枚)ガーデニンググッズを処分
わが家は一戸建てからマンションに引っ越したため、一戸建ての庭で使っていたときのガーデニンググッズをそのままベランダに置いていました。ところが、日当たりや風の問題で思うように草花が育ちません。それでも何度かトライしてみたものの、やはり枯れてしまうので植物を育てることへのモチベーションは低下していく一方でした。
さらに植木鉢やガーデニンググッズは台風や点検のたびに部屋の中に入れておかなければなりません。植木鉢は陶器のため重く、年に数回とはいえ、ベランダと玄関を往復するのは50代の私にとってはかなり面倒な作業です。
そこで思いきってガーデニングをやめることに。ガーデニング用の土や栄養剤、スコップなど、すべてのガーデニンググッズをまとめて収納していたコンテナごと処分しました。
これらをなくしたことで「植物を枯らしてしまう罪悪感」「毎日お手入れしなければならないプレッシャー」がなくなり、気持ちがラクに。
さらに台風がきても荷物を移動させる必要がなくなり、手伝ってくれない家族に対するイライラもゼロになりました。
コンポストを撤去
ガーデニンググッズの処分と同時に、ガーデニングの肥料として活用していたコンポストも撤去しました。
コンポストの取り組みは環境にも優しい活動のため、正直なところやめることには抵抗がありました。ですが、コンポストを続けても、マンション住まいではガーデニングをしていない限りは使い道に困るだけ。
じつはわが家のキッチンのシンクにはディスポーザーがついているので、生ゴミはその場で粉砕してしまう方が簡単。それをあえて、コンポストのために生ゴミをベランダまで運んでいたのです。
コンポストをやめたことで、生ゴミを細かく刻んだりまとめておいたりする必要性も、コンポストをかき混ぜる作業もなくなり、気持ちがラクになりました。
ベランダのものをすべてなくした結果
私が住むマンションは外干しが禁止。洗濯物は浴室乾燥とドラム式洗濯機で乾燥させていたため、ベランダに洗濯グッズはありません。
ですから、ガーデニンググッズのほかにベランダに置いていたのは掃除用のデッキブラシのみ。デッキブラシは古くなっていたので買い替えました。ですが、管理は玄関のシューズクロークに変更。ベランダに出しっぱなしにしておくよりも傷まないと判断したからです。
ものがひとつもないベランダにした効果は以下の3つ。
- ベランダ掃除が苦にならない
- ベランダが広くなりスッキリ見える
- 植木鉢がなくなり、土ぼこりや枯葉が排水溝にたまりにくくなった
そもそもわが家のベランダには生活する上で「絶対に必要なもの」はなかったのです。放置状態のアイテムがあるベランダを見て「なにもしていない自分」を責めることがなくなり、ベランダに関するストレスがいっさいなくなりました。
年齢的にも手間を少しずつ減らしていくと、心も体もラクになります。
●教えてくれた人/藤野ことさん
整理収納アドバイザー、住宅収納スペシャリスト。クリンネスト2級。家事は「素早くラクに」がモットー。動線を短くして時短家事となる仕組みづくりを考えている。無印や100均などのグッズを使った収納アイデアを考えるのが得意