新居を手に入れるときは、10年後、20年後、そしてその先の暮らしも見越して、間取りや設備を選択することが大切です。とはいえ、将来の暮らしはなかなか想像がつかないことも。新築マンションに住んで16年、子育てもひと段落して50代を迎え、夫婦2人での暮らし。自身のライフスタイルをモデルケースに、16年たって感じる住み心地や、リフォームしたいことなどを、ライフオーガナイザーで整理収納のプロ・田川瑞枝さんが語ります。

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目次:

絶対条件だった「眺望と利便性」暮らしてみてわかった間取りのよさもしリフォームするとしたら、こんなこと

絶対条件だった「眺望と利便性」

マンションからの眺望

家を買うときの条件は、100人いれば100の条件があると思います。わが家は、上限金額を考慮したうえで、夫は駅近で、私は眺望でという条件がありました。仕事に出かける夫は、駅から遠い借家住まいのときに徒歩での通勤に苦労したので、なるべく近くを希望。家での仕事がメインの私は、家からの眺めが重要でした。

16年住んでみて、やはりこの条件が今も重要ポイントだったと実感。家に帰るのもラクで、かつ在宅も楽しく快適です。

暮らしてみてわかった間取りのよさ

キッチンの見え方

LDKの全景

家を購入するときに何軒もモデルルーム見学に行きましたが、マンションの特徴なのか、ドアをあけたらすぐキッチンという間取りが多く見受けられました。シンクの中が丸見え、という配置が気になり、それは避けたいなと。

わが家は、ドアをあけたらフォーカルポイントに窓からの景色が見えるので、お客様の目はまず窓の外へ。数歩中に入ってキッチンがあるのですが、仕切り壁で死角になりキッチンに目が行くことがなく、ここはメリットでした。

回遊できる動線

洗面所

キッチン、洗面所、お風呂が直線でつながっていて、廊下がないつくりなのも気に入っています。廊下も床面積に含まれますし、ムダに長いと、有効に使っていない廊下分の固定資産税も払っているのかという気がします。これは、もったいないですよね。

脱衣スペースも兼ねている洗面所は、約1畳と狭いのですが、使用するときは引き戸で仕切り、普段はあけて通路としての役割を果たしています。私はここを「ウォークスルーサニタリー」と呼ぶことに。玄関から入ってリビング、キッチン、お風呂、そして玄関へと、ぐるっと回遊できる間取りになっています。

行き止まりがなく回遊できる間取りは、暮らしやすい。万が一の災害時、リビングの逃げ道が、2か所あるのは心強いです。

もしリフォームするとしたら、こんなこと

住まいとしては申し分ないのですが、設備が老朽化してきたのが心配なので、もしリフォームするとしたら、ここを直したいという夢はあります。

浴室

浴室

まずはお風呂場です。50代になり、これから年齢が上がってくると、ますます掃除が大変になるので、鏡や棚は取り外します。そして浴槽は、冷めにくい魔法ビン仕様に。

マンションなので洗濯物の外干しは控えています。リフォームでサンルームのような洗濯物干し場をつくれたら理想です。

キッチン

キッチン

キッチンは、4人家族で暮らしていたときは広さや収納力が魅力でしたが、夫婦ふたり暮らしの今は、それほど大きなスペースはいりません。

一口コンロに適度な大きさのシンクで十分。掃除がラクなひとり暮らしサイズのコンパクトタイプが希望です。年齢が上がると換気扇の掃除も大変になってくるので、自動で掃除してくれる最新式の換気扇も導入したいです。

サッシ

サッシ

わが家は駅近なので、電車の音も聞こえます。防音ガラスのおかげで、閉めているとまったく音は聞こえないのですが、冬は掃き出し窓から冷気が入り、室内の暖かい熱が逃げていくのが気になっています。

16年前はメジャーではなかった断熱効果のあるエコガラスに変更したい、という希望もあります。

24時間換気システム

新築当初は気づきませんでしたが、24時間換気のおかげで、長期間出かけていても湿気がたまらず、カビ知らずで暮らせています。快適な暮らしのためには、こうした設備がとても大切なんですね。

設備の進化は早くて、16年前にはなかった新しい設備がどんどん出てきています。リフォームというとちょっと大げさになりますが、設備機器を取り替えるだけでも暮らしの質が上がりそうです。

子育て世代での暮らしと50代からの暮らしでは、住まいに対する見方も変わります。かつては便利だったことが使いにくいと感じたり、逆に、変わらずに満足できたりすることもたくさんあります。

家選びのポイントは人それぞれですが、今回の記事もぜひ参考にしてみてください。

●教えてくれた人/田川瑞枝さん
ライフオーガナイザー、整理収納アドバイザー、ファイリングデザイナー。モノの片づけを通して、生き方の整理整頓を伝える「思考の整理収納塾」代表。時間管理、書類の整理、家計管理、住育、防災片づけ、ワークライフバランスなどのアドバイスも。ブログ「思考の整理収納塾~Sapporoちょこ*スタイル~」を更新中