リノベで根強い人気があるのが「回遊動線」を取り入れた間取り。行き止まりがなく、ぐるっと1周できるため、「家事がしやすい」「朝の身支度がラク」「風通しがいい」など、暮らしやすさに直結するメリットがあるといわれています。今回ご紹介するN邸は、リノベで住まい全体にも水回りにもそれぞれ回遊動線を採用。「ストレスなし」という快適な住まいをご紹介します。
すべての画像を見る(全18枚)玄関からLDKをつなぐ2つの通路がある住まい
玄関を入ると、LDKまでの通路が2つあるN邸。一方は玄関土間からつながる書斎スペースを兼ねた通路、もう一方は寝室や収納の扉が並ぶ、いわゆる「廊下」としての通路です。廊下側はスッキリと仕上がり、書斎側はカジュアルな雰囲気と、メリハリも効かせることができました。
玄関土間は夫の念願だったスペースです。多用途に使え、スポーツ好きな夫のトレーニングスペースとしても大活躍。「ランニングが日課なのですが、暑い季節、汗だくで帰ってきても、土間やルーフバルコニーで涼めるので助かっています」と夫。
天井には懸垂用のバーも設置しました。背面の窓の先には、50㎡超の広いルーフバルコニーがあり、開放感も満点です。
玄関土間は、同じく夫の念願だった書斎も兼ねたスペースです。ネイビーブルーのアクセントクロスのおかげで、空間がギュッと引き締まった印象に。デスクは置き家具で、壁には造作で棚を設置。「帰宅すると玄関からここへ寄り、カバンや小物を置いてからリビングに向かいます」と夫。
書斎側の通路からLDKを見たところ。通路には造作の本棚も設けました。妻は第1子を出産予定で、広々としたリビングの一部は、将来、子ども部屋にあてることも考えているそう。「もし2人目を授かったら、書斎を明け渡さざるを得ません(笑)」と夫。
一方のこちらは、寝室のドアや収納扉が並ぶ廊下側の通路。天井を板張りで仕上げ、白っぽい空間にアクセントをプラスしました。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫33歳 妻30歳
▼リノベを選んだ理由
賃貸から持ち家への住み替えを検討するようになり、住み慣れていて通勤にも便利な同じ市内で物件探しをスタート。リノベーションに興味があり、リノベ前提で中古マンションに絞って物件を探し、現在の住まいを購入した。
▼住宅の面積やコスト
専有面積/72.63㎡ 工事費/1200万円(税、設計料込み。施主支給品含む)
水回りにも回遊動線を採用して家事や身支度をラクに
キッチンはコンクリートと木を組み合わせた対面式。背面側には棚とカウンターをつくりつけ、妻のPCコーナーも組み込みました。右手には、洗面室とつながる白い引き戸があります。
キッチンと引き戸でつながる洗面室。手前側には廊下に出られる動線もあり、1つの住まいに2つの回遊動線が設けられたN邸。機能的な間取りになっています。
廊下側から見た洗面室。右手に浴室があり、白い壁の奥には収納棚も設けました。床は水に強く掃除もしやすいフロアタイル仕上げに。
生まれてくる子どもを見守れるように、キッチンは対面式を希望したNさん夫妻。カウンターに立ち上がりをつけて、手元が見えないようにしています。キッチンは造作したオリジナルで、内部にIKEAのユニットを組み込んでいます。設備の大半は施主支給で調達。コストダウンに貢献しました。
パイプスペースになじませて設けたパントリー。キッチン同様、IKEAのユニットや市販のカゴを駆使して使いやすく収納しています。
家具の色味を合わせて統一感を持たせたリビングダイニング。梁だけ躯体現しにして、食とくつろぎの空間をゆるくゾーニングしているのもポイントです。
廊下側には寝室やトイレを配置
北側の寝室は、内部でベッドスペースとウォークインクローゼットに分かれたつくり。ベッドスペースをコンパクトにしたぶん、十分な収納スペースを確保できました。
位置を移動し、出入り口はドアから引き戸に変更したトイレ。キッチン同様、トイレ設備も施主支給品で、木枠のミラーを合わせました。
施主支給品も含め、工事費は約1200万円だったN邸のリノベ。「広い土間、廊下の板張り天井、幅の広い床材、オリジナルのキッチン、ウォークインクローゼットなど、かなえたかった要素はすべて取り入れてストレスなし。大満足です」とNさん夫妻。行き止まりのない回遊動線を採用した間取りも、快適な暮らしを後押ししています。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーベーション後
プロデュース・設計/EcoDeco
リノベーション業界のパイオニアとして、中古物件探しからリノベーションまでのトータルコーディネートサービスをいち早く展開してきた。設計者を自由に選べるだけでなく、施工会社はコンペで決定でき、すべての過程でコーディネーターが相談に乗ってくれる。
撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.23」取材時のものです