マイホーム計画で、まず考えなければならないお金のこと。果たして、頭金はいくら貯めればよいのでしょうか?まずは、購入予算となる「頭金」「借入金」「諸経費」についての基本を学んでみましょう。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが解説します。

家づくりとマネープラン
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目次:

頭金は物件価格の1割から。定年までに完済できる計画をまずは購入予算となる「頭金」「借入金」「諸経費」について知る住宅取得等資金の非課税制度の確認を。お得に負担が減らせる場合も

頭金は物件価格の1割から。定年までに完済できる計画を

マイホ-ム購入にあたって気になるのが、「頭金をいくら貯めておけばいいのか」ということ。一般的には「物件価格の2割程度」といわれます。

しかし畠中さんは「返済能力があれば、物件価格の1割で購入に踏み切ってもいい」とアドバイスします。まったく預貯金がない場合は家計の見直しが先決ですが、頭金が1割程度ある場合は住宅購入を優先したほうがいいとか。というのも、お金を貯めることを優先し、購入時期を先送りすると、必然的に定年あるいは継続雇用の終了までの期間は短くなるからです。

「住宅ロ-ンを組むときは、定年を迎える年齢までに返済できるよう計画を立てるのが理想です。繰り上げ返済すれば、返済期間を短くできますが、家を建てるなら早めに決断するに越したことはありません」

まずは購入予算となる「頭金」「借入金」「諸経費」について知る

家づくりに必要なお金を把握することは資金計画の第一歩。まずは購入予算となる「頭金」「借入金」「諸経費」についてイメ-ジをつかみましょう。また、見落としがちな諸経費もしっかりチェック。
購入後の生活費にしわ寄せがこないように、目配りすることも忘れずに。

頭金

住宅購入の際に現金で支払う自己資金のこと。貯蓄から用立てるのが一般的。預貯金を全額使うのではなく、今後の生活費や教育費、医療費なども考慮する必要がある。頭金が多いほど住宅ロ-ンの借入額が少なくなる。「物件価格の2割」が目安だが、頭金が1割でも返済能力があれば購入は可能。

諸経費

購入時の手続きにかかる費用。物件価格に加えてさまざまな手数料や税金、登記費用などがかかる(下記参照)。新築物件の場合、物件の3~7%が目安。ひとつひとつはさほど大きな金額ではないがト-タルで試算すると無視できない金額になるので、しっかり予算に織り込んでおきたい。

  • 土地にかかわる諸経費(一部) 地盤調査費 5万円~ 家屋調査費 10万円程度 敷地調査費 5万~10万円
  • 建物にかかわるお金(一部)
    ガスや給排水の引き込み工事 30万~60万円
    設計料 建築費の10~15%
  • その他のお金(一部)
    印紙代 契約金額による
    火災保険料 10年間で15万~25万円程
    建築確認申請費用 7万〜15万円程度
    不動産取得税 3万~10万円
    団体生命信用保険料 借入額と返済額によって異なる

借入金

住宅ロ-ンなどで借りるお金。借り入れ金額が大きくなるほど、ト-タルの返済額も大きくなる。借り入れ金額が3000万円だとしても、そこに金利がかかり、実際に返済する額は3000万円より多くなる。無理のない返済計画を立て、計画的に返済することを重視した借入額の設定が欠かせない。

マイホ-ムの維持費

マンションの場合は管理費や修繕積立費が毎月必要なことが知られているが、戸建ても将来のための修繕費は見積もっておくことが大切。そのほか、固定資産税など税金の支払いもある。

住宅取得等資金の非課税制度の確認を。お得に負担が減らせる場合も

親族からの資金援助が一部非課税になる

親族からの資金援助は、本来であれば「贈与税」の対象となり、贈与額に応じた税金を納める義務が発生する。しかし、親や祖父母から住宅購入資金の一部を援助してもらう場合には最大1000万円まで贈与税が非課税。さらに耐震性や省エネ性などをクリアした長期優良住宅の場合、非課税枠が最大1500万円まで拡大される。こうした制度を活用し、頭金を増やすことで住宅ロ-ンの負担を軽減するのもおすすめ。

「住宅取得等資金の非課税制度」のポイント

贈与する人 自分の親、祖父母
贈与を受ける人 満20歳以上の子、孫 (合計所得金額が2000万円以下)
非課税枠 1000万円(省エネ・耐震住宅は1500万円) ※相続時精算課税制度の併用で最大200万円上乗せ
住宅の条件 ・自分の居住用で床面積50㎡以上240㎡以下 ・中古住宅は新築後20年以内(耐火住宅は25年以内)、または一定の耐震基準に適合するなど

親・祖父母から贈与を受けた場合の非課税限度額

契約日 一般住宅用家屋 省エネ住宅等
~2022年3月31日 1000万円 1500万円

※合計所得金額が1000万円以下の場合、床面積は40㎡以上に緩和される。

●教えてくれた人/畠中雅子さん
ファイナンシャルプランナ-。連載、講演、セミナ-など幅広く活躍。複数の不動産を所有し、住宅ロ-ンのアドバイスも得意とする

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