「忙しいから、この件よろしくね!」。よくドラマで観るシーンです。今回は本人に代わって代理で契約を結ぶケースでの問題。実はこちらのお題、宅地建物取引士の国家資格をとるための試験がもとに。さて、あなたは正解できますか?【今回の問題】A(あなた)がA所有の土地の売却に関する代理権を未成年であるBに与えた。Bは売主Aの代理人Bと表示して買主Cと売買契約を締結した。ところが、近隣の相場より大幅に安く売ってしまっていた。未成年を理由に、あなたは取り消すことができるか?

代理人の委任状
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契約を結ぶ

目次:

代理人に代理権があれば行ったことは依頼者本人に帰属する!もし、代理人が買主Cに脅されたとしたら…取り消しはできる認知症の父親が実家を売ってしまった場合はどうなる?

代理人に代理権があれば行ったことは依頼者本人に帰属する!

正解は…取り消せない。未成年でも代理人になることは可能!

代理人を頼まれた人は、契約相手に「私はAの代理人です」と契約相手に示さなければいけません。これを「顕名(けんめい)」といいます。

買主が、この人は売主の代理人だとちゃんと知ることができ、代理行為(この場合、土地の売買契約)を結べば、これで契約完了。たとえ未成年であっても、取り消すことはできません。

代理人が依頼していた土地を相場より安く売ってしまったとしたら売主Aは損します。でも、売主AにはBを代理人に選んだ責任があるからです。

そういう意味で、頼りない人を代理人に立てると大変なことになります。

もし、代理人が買主Cに脅されたとしたら…取り消しはできる

脅された契約は取り消せる

ちなみに、代理人が未成年であるか否かにかかわらず、売主が取り消せるケースがあります。代理人Bが会った買主Cが悪い人で、Bをだましたり脅したケースです。

逆に立てた代理人Bがだましたり、脅して買主Cに買わせたとしたらどうなるでしょう?

この場合は、悪い代理人を選んだのはAですから、買主のCが申し出れば取り消されてしまいます。

代理人を立てるときは、くれぐれも慎重に。

認知症の父親が実家を売ってしまった場合はどうなる?

不動産の売買

取り消せる?「認知症の父が勝手に実家を売ってしまった」場合

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