近年の新築やリフォームでは、安らぎや温もりを感じる自然素材で床を仕上げるのが人気です。特に床や壁の仕上げは、面積が大きいので、室内のインテリアにも影響を及ぼします。ここでは床によく使われる自然素材の特徴と、インテリア性をアップさせる使い方について紹介します。上の写真は、古くから日本の家づくりを支えてきた「杉」。国産針葉樹の代表である杉は調湿性や断熱性に優れ、足触りもいいのが特徴です。以下、様々な樹種の特徴も見てみましょう。

杉の床のDK
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目次:

よく使われる樹種とその特徴「石」「畳」「足場材」などは、用途で使い分ける

よく使われる樹種とその特徴

パインの床のLDK

一概に無垢材といっても、樹種によって、色、硬さ、風合いなどが違います。上で紹介した「杉」と並び、近年人気なのが「パイン」。上の写真は「パイン」の無垢板を無塗装で仕上げたもの。材の濃淡がまちまちなので、よりナチュラルな雰囲気を演出できます。

主に床に使われる樹種と特徴

  • 杉 日本の代表的な木材で、様々な用途で使われる。調湿性や断熱性に優れ、足触りもいい

  • 高級建築材として知られる国産針葉樹。狂いが少なく加工性も良好。水に強く芳香も好まれる
  • パイン
    北米や北欧が主産地の針葉樹で、経年変化で深い色合いに変化する。比較的柔らかい木材
  • タモ(アッシュ)
    アッシュとも呼ばれる広葉樹で、材質はやや硬く、床や家具など幅広く活用される
  • ウォールナット
    北米産の広葉樹。木質は硬めであるため衝撃に強く、狂いが少ない
  • チェリー
    広葉樹の中では比較的やわらかく、加工は容易。経年で飴色に変化し、高級感がある
  • ナラ(オーク)
    硬い木質の広葉樹。年輪がはっきりしていて、家具や洋酒樽などにも使われる
  • チーク
    硬さ・強度・弾力性のバランスに優れた材。キメが細かく、しっとりとした肌触り
  • アカシア
    世界に広く産する広葉樹で、黒褐色の濃淡が特徴。木質はウォールナットに似ている
タモの床のLDK

「タモ」の床は穏やかな色調で和洋を問わず、落ち着いた風合い。北欧家具とも好相性です。

オニグルミの床のリビング

写真は国産の「オニグルミ」を使った床。この家では丸太から購入したうえで、乾燥具合も調整して床暖房にも対応できるようにしています。

ヘリンボーン張りのダイニング

張り方で人気なのが、寄せ木(ヘリンボーン)張りです。写真の樹種はウォールナット。濃淡や色味が異なる材の組み合わせが手仕事の味わいを感じさせます。

「石」「畳」「足場材」などは、用途で使い分ける

床に大理石を貼った洗面室

無垢材以外の素材を使えば、もっと個性的な空間をつくることができます。
石貼りの床の場合、石は吸水率が低いため水回りや外構に向いています。独特の割れ肌や模様などが、高級感のある豊かな表情を与えています。
上の写真の床はつややかな「大理石」貼り。洗面ボウルにも天然石を採用した、高級感と重厚感が漂う空間です。

玄昌石貼りのリビングの床

こちらは「玄昌石」貼りの土間から、一段上げてリビングを設けた例。粘板岩特有の割れ肌が和モダンの内装によく似合います。

床に十和田石を貼った玄関

「十和田石」は多孔質で滑りにくい凝灰岩の一種です。木製格子戸と十和田石の組み合わせが、まるで和風旅館のような事例。

畳で仕上げられた小上がり

RC造の建物に設けた「琉球畳」の小上がり。エッジの効いたRCの質感のなかに、い草と木の建具で軽やかさがプラスされています。

足場材を使ったリビングの床

古材の「足場材」をリビングに採用した例。使い古された板の色ムラや節などが温もりと味わいを感じさせます。

床に使われる自然素材にはこのように多種多様。施工例を見てイメージを膨らませるとともに、ショールームなどで実際に実物を見て触れて確かめることも大切です。

設計/佐久間 徹、佐藤高志、八島正年+八島夕子、松本直子、スキャンDホーム、山中祐一郎、高野保光、服部信康、中渡瀬拡司、駒田剛司+駒田由香

撮影/大槻 茂、桑田瑞穂、中村風詩人、日紫喜政彦、目黒伸宜、山田耕司