ピアノの置き場所、困っていませんか?お子さんにピアノを習わせている家庭にとっては必須アイテムですが、リビングが窮屈になるのが悩みのタネ。この問題、一級建築士のしかまのりこさんは、くつろぎとしてのソファと食事用の椅子の双方で兼用できる、ダイニングソファすれば解決すると言います。LDKにピアノを置いても、狭くならないその解決法を、3Dモデルを使って説明してもらいました。
すべての画像を見る(全11枚)狭く感じるのは、ピアノに1畳分のスペースが必要だから!
一般的なアップライトピアノのサイズは幅150㎝前後、奥行き60㎝前後あるので、約半畳ほどの面積が必要になります。さらに、椅子や座って練習する空間をプラスすると、上図のように、結果的に約1畳の広さが必要に。例えば10畳のリビングダイニングであっても、ピアノを置くことで、その広さが9畳になってしまうのです。
完成時には広く感じたリビングダイニングが、ピアノを置いたらとても狭く感じる原因はこのためです。
限られた空間にピアノを置くには、引き算インテリアの発想が必要
家具の機能を兼用して、家具の数を減らすことを「引き算インテリア 」と言います。
狭い部屋など限られた空間に、ダイニングセット・ソファ・リビングテーブル・ピアノをレイアウトすると、部屋はとても窮屈で、動きにくくなります。
この場合、引き算インテリアで可能な限り家具を少なくすることがポイントです。
リビングダイニングが9畳という限られた空間に、ダイニングセットとソファ、リビングテーブル、収納のほか、ピアノを置いていました。
先ほど言いましたように、ピアノは約1畳の面積を必要とするので、この部屋は8畳の空間にダイニングセットとソファ、リビングテーブル、収納を置いていることになります。
8畳の空間に、これだけ多くの家具をレイアウトすると、部屋はとても狭くなります。
そのため、上図の矢印で示したように、収納への動線はとても動きにくく、使いづらい収納になっていました。
さらにダイニングの椅子を後ろに引くスペースが狭くなっているため、立ち座りがしにくいというストレスも!
ほかにも、テレビボードやピアノ、収納がぎっちり隙間なく並んでいたため、視覚的にも、大変、窮屈な印象を与えています。
そこで、引き算インテリアで、可能な限り、家具を少なくしてレイアウトしてみました。
今回は、ソファとダイニングセットの機能を兼用した、1台2役のダイニングソファを使い、家具を引き算していきます。
ダイニングテーブルにソファを合わせるには、高さと硬さが重要
上図は、引き算インテリア後の様子です。
ダイニングチェア、ソファとリビングテーブルを処分し、そのかわりにダイニングソファをプラスしました。ダイニングテーブルは、引き続き、そのまま使っています。
ここで一つ大切なことがあります。それは、ダイニングソファの、座面の高さです。上図のように、食事がしやすい椅子の座面と、ダイニングテーブルの高さの関係は、座った状態で、その差が27㎝~30㎝です。
そのため、例えばダイニングテーブルの高さが70㎝の場合、ソファはその座面の高さが40㎝~43㎝のものを選ぶ必要があります。
こちらのテーブルは、高さが68㎝でしたので、上図のようにダイニングソファは、座面の高さが41㎝と少し高めのものを選びました。
ダイニングソファとテーブルの高さの差は図のように27㎝となり、ソファでも食事がしやすい状態をつくることができます。
また、ソファの沈み込みが多いと、身体が安定せず食事がしづらくなります。ですから、座面の沈み込みが少ないように、ソファの座面は硬めのものを選ぶことも大切です。
引き算インテリアによりスペースができたことにより、ぎっちり隙間なく並んでいたテレビボードやピアノ、収納はその配置を変えることができました。
ダイニングソファの活用で、狭かった収納への動線はスムーズになり、ダイニングスペースも広くなりました。
その結果、上図のように部屋全体に余白ができ、物理的にも視覚的にも部屋が広くなりました。
このように、引き算インテリアで家具の機能をまとめ、また家具の数を少なくすることで、限られた空間でも、狭さを感じずピアノをレイアウトすることができます。
家具のレイアウトを少し変えて、ピアノのある生活を楽しんでください。