長男の誕生を機に、妻の実家が近く、子育てのサポートを受けやすい千葉・浦安エリアに引っ越すことを決意したKさん夫妻。近くに子どもを思い切り遊ばせることのできる大きな公園があり、窓から海も見える100平㎡の物件との出会いが背中を押してくれたといいます。アパレル企業で店舗内装にもかかわってきた妻とウェブ系デザイナーの夫。ともにデザインにこだわりがあり「家をつくるならリノベーションで」と考えていた夫妻は、数社のリノベ会社が参加するイベントに足を運び、「住む人の個性が伝わる事例が多いことに魅力を感じて」(妻)、ブルースタジオをリノベーションのパートナーに選びました。
すべての画像を見る(全19枚)お気に入りのインテリアショップをイメージした内装
内装のイメージは、妻が「住みたいくらい好き」というインテリアショップ『SLOW HOUSE』がベースになっています。これは設計者とのイメージ共有に大いに役立ったそう。
リビングは、壁一面にブリックタイルを貼り、白く塗装した空間に。床暖房対応のナラ材のフローリングが温かみを添えています。
キッチンは、ブルースタジオのセレクト式オーダーシステム「TOKYO*STANDARD」を利用しつつ、オリジナルで造作。
かつてキッチンがあったスペースに個室1室分を加えてつくり替えたため、広々としたキッチンが実現しました。白い扉の中にはオーブンレンジやゴミ箱が収納されています。
LDから死角になる位置に、パントリーと冷蔵庫置き場を設けました。以前の住まいでは食品をストックできる場所が十分にないのが不満でしたが、「災害時用の備蓄品も置けるので助かります」(妻)
背面カウンターの一角には妻のパソコンコーナーも。壁に採用したスクエアなタイルがキッチン全体のアクセントになっています。
LDと一体になる多用途なゲストルーム
リノベーションで実現したかったのは、個室の数を最小限にして開放的な住まいにすること。「家族が同じ空間で過ごしながら、思い思いのことをしている、というのが理想でした」と妻。
LDに隣接するゲストルームは、引き戸を開けるとLDと一体に。普段は引き戸を開け放して子どもたちの遊び場に、引き戸を閉め切れば泊まり客にも対応。
土間とゲストルームを仕切るのは黒いスチールの格子が効いたガラス戸。奥まで視線が抜けるので、リビングの開放感は格別。廊下との間仕切り壁のないプランも検討しましたが、家具が置けるよう現状のプランに。
ゲストルームは玄関側も開放できるつくりになっており、土間を挟んで共用廊下に面した窓から光と風が取り込め、室内にいながら屋外を感じさせます。
フレキシブルに使いたいと考えたゲストルーム。収納は造り付けず、無印良品のスタッキングシェルフを活用。上段には夫妻の本、下段には子どもの絵本やおもちゃなどを収めています。
たっぷり収納できる2つのウォークインクロゼット
仕事柄洋服が多いこともあり、十分な収納スペースもリクエスト。100.87平米という広さに対し、リノベ後の間取りは2LDK。部屋数を絞ったぶんウォークインクローゼットを寝室への動線上と寝室内の2か所に設置。湿気対策で、東西の風通しも考慮された間取りになっています。
今は家族全員で使っている寝室。WICの入り口横のラックは保育園に通う長男の身支度コーナー。内装はシンプルに徹しました。
寝室内のWICの出入り口の扉は省略。引き出しケースを置き、畳んで収納する衣類をこちらに集約しました。枕棚やポールも設置してあり、柔軟に使い方を変えられます。
もう1つのWICは、寝室の手前にあり、ここを通って寝室へ入っていくつくりになっています。左右のポールは、右が夫用で左が妻用。ハンガー掛けする衣類はすべてここに収納でき、衣替えも不要です。
玄関近くの壁に、リング状のデザインが楽しいフックを取り付けました。デンマークのブランド・HAYのもので、帽子やエコバッグを掛けて収納ができ、壁のアクセントにもなっています。
玄関からリビングダイニングへと続く廊下。左手のゲストルームとの間仕切り壁のみグレーにして、白が基調の空間に変化をつけました。右手には、手前から寝室、トイレ、洗面室のドアが並びます。
現在妻は育児休業中ですが、いずれ始まるあわただしい朝に備えて洗面台はダブルボウルに。広いカウンター下が収納に役立っています。
背面側には棚を造り付け、掃除機の収納スペースも確保。
面積を広げたトイレは、手洗い場もあり、収納は上部の棚のみにしてゆとりのある空間に仕上げました。オープン棚はトイレ用品のストックに便利です。
土間スペースに、男心をくすぐる書斎
玄関から続く細い土間スペース。窓辺には長男が散歩中に拾った石や植物などを飾っています。奥は夫の書斎。右手がゲストルームで、光と風を奥のリビングダイニングまで導きます。
コンパクトな書斎は夫の希望で実現したもの。半畳ほどの小さなスペースですが、こもれる感じが男心をくすぐるそう。背面には床から天井までの本棚も。
玄関ドアを入った右手に、靴をたっぷりしまえる収納を。「ベビーカーを押したまま部屋に入れて、畳まずに置いておけるのが助かります」(妻)。身支度や荷物の一時置きに使えるベンチも造り付けました。
以前暮らしていた賃貸マンションは収納が少なく、不満を感じることが多々あったそうですが、リノベーションによって解決。入居後には長女も生まれ、子育てに適した環境とゆとりのある住まいを手に入れた夫妻は、忙しくも充実した毎日を過ごしています。
設計/ブルースタジオ
撮影/松井 進
※情報は「リライフプラス vol.35」掲載時のものです。