10年前に当時築10年だった鉄骨造2階建ての一戸建てを購入したUさん夫妻。購入時は三方が田んぼで山も望めましたが、宅地開発が始まり、回りを住宅に囲まれる状況となりました。採光確保のために建て替えも検討しましたが、雑誌で見つけたアルツ・デザイン・オフィスの水本純央さんに相談し、リノベーションを行うことを決意。工事費1200万円(外交工事費・設計料含まず)をかけて、回りを住宅に囲まれていても明るい家を実現しました。

広い土間キッチン
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目次:

玄関からリビング、キッチンまでひとつながりの土間空間テラスを設置して室内にも光を届けるLDKの一角には仕切りのないサニタリーを

玄関からリビング、キッチンまでひとつながりの土間空間

土間からつながるリビング

宅地計画が始まった際、一方だけでも採光を確保しようと隣地を購入。それでも眺望の良かった窓の前には家が建ち、光が入らなくなってしましました。そこで、新しく購入した隣地にテラスをつくり、そちらを向いて生活しようと考え、LDKを含む1階の間取りを大胆に変更しました。

特徴的なのは玄関土間。そこからリビング~キッチンまでが土間仕上げとなっていて、ひとつの空間に。玄関に吊るしたハンモックは、お子さんの友達にも大人気。土間の下には断熱材を敷設しているので、冬は冷えが気にならず、逆に夏はコンクリートがひんやりして涼しいそうです。

スチールの靴箱

玄関を入るとすぐにリビングがあります。古い家の壁や天井板は撤去して、構造の鉄骨をむき出しにしました。靴の収納には古いスチール棚を活用することで統一感を演出。

土間仕上げのリビングとキッチン

リビングの先にはキッチンが続きますが、ここも床はすべて土間コンクリート。間仕切り壁をなくしたので、以前より明るくなったうえ開放感もある快適な空間になりました。照明も空間に合わせててインダストリアルなデザインのものを選んでいます。

アイアンのフレームにモルタル天板を合わせた収納スペース

キッチンを広いテラスに面する位置に移動し、アイランドスタイルにすることが目的のひとつでした。収納スペースはアイアンのフレームにモルタル天板を合わせた造作とし、窓をふさがない高さにしました。

市販のワゴンや古道具の棚、DIYでペイントした引き出しなどを組み合わせて使いやすくカスタマイズしています。

リビング横のスタディスペース

ダイニングキッチンの横には仕切りのないスタディスペース。モノづくりが好きな夫妻は「できる部分はDIYで」と希望し、このデスクも自作しました。ほどよく仕切られた雰囲気で勉強がはかどりそう。

テラスを設置して室内にも光を届ける

築20年の戸建て

Uさん宅は築10年で購入してから10年がたち、傷みが気になり始めていましたが、この機会に室内だけでなく、基礎や土台、屋根、外壁にもリノベーションしたことで安心感も得られました。玄関扉横が新設したテラス部分。

テラスにテーブル配置

テラスにはテーブルを置いて、天気の良い日にはここで食事も楽しむことも。キッチンからのアクセスがよいので配膳もラク。パイプを自分たちで組み、日よけのシェードをつけて、日差しの強い日も快適に過ごせるスペースに仕上げました。

隣家との目隠しになる壁

隣家との目隠しのために建てた塀は、妻が白くペイント。その壁に反射した光が室内にも明るさをもたらしてくれます。室内からの眺めも素敵です。

DIYのウッドデッキ

ウッドデッキは夫がDIYで設置。植物を置いてナチュラルなディスプレイに。奥に見える出入り口のドアもDIYです。今後は庭に小屋を建てようと計画しているのだそう。

LDKの一角には仕切りのないサニタリーを

既存利用の洗面台

洗面台は既存のものを使っていますが、壁紙は方眼紙柄のものに貼り替え、雰囲気を変えました。右はトイレの木製ドア。味のある型ガラスをはめ込んで造作したもの。

パイプで作ったトイレの手摺

ぎっくり腰予防のためにつけたというトイレの手すりは、パイプで造作しました。

外とつながる広々としたテラス、土間スペース、揺れるハンモック…。走り回る兄弟に家の感想を尋ねると、「超楽しい!」と元気な答えが返ってきました。

設計 アルツ・デザイン・オフィス
取材 佐々木由紀
撮影 日紫喜政彦
※情報は「住まいの設計2018年1-2月号」掲載時のものです。

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