『年収200万円からの貯金生活宣言』など、家計管理に関する多数の著書がある、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。これまで1万件以上もの家計を再生してきた横山さんは、その経験から、貯められない人には共通点があると発見したそう。
「貯まるか貯まらないかは、ちょっとした積み重ねで変わります。貯められない人は、無意識のうちにお金をムダにしがち。この『ビンボー習慣』を改めるだけで、今すぐ貯められる家計に生まれ変わりますよ」
こうアドバイスしてくれた横山さんに、ESSE編集部が協力を依頼。家計管理で悩むESSE読者を診断していただき、ビンボー習慣を指摘してもらいました。

マンガ1
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家族にサービスしすぎ!?多すぎる食費とこづかいをカットし将来のために貯金を

今回は佐藤夏美さん(仮名・34歳)の家計を診断してもらいました。以前は家計簿や袋分け(毎月に支出を予算ごとに袋に分けて管理する方法)でやりくりしていたという佐藤さんは、夫の転職・減収、子どもの入学などで家計が激変しやる気を喪失し、赤字家計に転落。「家族が笑顔でいてくれれば、それで幸せ」という佐藤さんですが…?

佐藤家DATA

夫(42歳)、長男(11歳)、長女(9歳)、二男(7歳)、義母(72歳)の6人家族。神奈川県在住。

佐藤家の家計表

夫の月収(手取り)   ¥280,000
妻の月収(手取り)   ¥80,000
児童手当        ¥20,000
その他収入       ¥10,000
収入合計        ¥390,000

住宅費         ¥97,000
食費          ¥120,000
外食費         ¥10,000
電気料金        ¥9,000
ガス料金        ¥6,500
水道料金        ¥3,500
通信費(携帯電話2台分)¥22,000
日用雑費        ¥10,000
レジャー・交際費    ¥10,000
子ども費        ¥3,000
こづかい(夫)     ¥70,000
生命保険料       ¥14,000
貯蓄          ¥15,000
支出合計        ¥390,000

収支          ¥0
現在の貯蓄       ¥200,000

マンガ2

●<ビンボー習慣の特徴>エコバッグで節約したつもり→小さな節約よりも大きな節約が大事

マイバッグ

夫婦とも小さな節約に熱心。佐藤さんはスーパーでポイントをもらうために、エコバッグ持参で買い物へ。電気関係の仕事をする夫は電気代に敏感で、つけっぱなしにしていると怒るそう。
「でも、12万円の食費、7万円のおこづかいなど、もっと先に見直すべき支出がたくさんありますよ」と横山さん。小さな節約よりも、大きな節約から手をつけるのが貯め体質への近道です。

●<ビンボー習慣の特徴>余ったお金を子どもの貯金にまわす→児童手当は先取り貯金で将来の教育費に備えて

教育費

貯金は月末に黒字が出たり、財布にお金が残っていたりするときにだけ、子どもの口座に3000~5000円を入金しているという佐藤さん。「お子さんのための貯金はいいことですが、これでは金額が少なすぎます。でも、毎月、やりくりしてお金をたくさん余らせるのは至難の業。貯金を増やすには、先取りで貯めるのがいちばんです」。児童手当は最初から生活費のあてにせず、支給されたらすぐ貯蓄用口座へ!

●<ビンボー習慣の特徴>夫のこづかいが決まっていない→こづかいは夫婦の収入の10%以内に

マンガ3

夫のこづかいは、必要なときに手渡して月7万円以上に。「減収を経てやっとラクになったので、つい甘くなって…。実際はもっと渡しているかも」と佐藤さん。7万円という、月収の2割を超えるこづかいは論外です。「こづかいは月収の10%以内が基本。半分に減らせないか、話し合いましょう。以前は2~3万円だったそうですから、わかってくれるはずです」。

●<ビンボー習慣の特徴>毎日買い物に行く→買い物は週2回!在庫で乗りきる習慣を

在庫チェック

2日に1回の目安で買い物するものの、たりないものがあって翌日もまた買い物という悪習を繰り返している佐藤さん。結局、毎日スーパーに通い食費は12万円に到達!

マンガ4

こうした状況に、横山さんがアドバイス。「買い物は回数が多くなるほど、ムダ買い、ついで買いが増えて出費も膨らみます。まず1週間分の食材をドンとまとめ買いして、あとはつけたしで1回買うだけにしましょう。最初は少し窮屈に感じても、ルール化すると、家にある在庫や残り物でなんとか乗りきれます」。

●<ビンボー習慣の特徴>家族の喜ぶ料理だけをつくる→献立をつくり、食費予算は週2万円を厳守

献立表

買い物に関しては、冷蔵庫の在庫に関係なく、家族がその日食べたいものを購入していることが当たり前に。予算も決まっていないので、どうしても出費がアップしてしまう佐藤家の家計…。横山さんは、まず予算を決めるべきとアドバイス。「月予算より週予算の方が期間が短くて管理しやすいので、1週2万円×5週でやりくりするといいでしょう。買い物前に献立を決めて、メモしておくと出費を抑えられます」。予算厳守で、食費2万円減を目指しましょう。

●<ビンボー習慣の特徴>家計簿が続かない→自分に合う家計簿をつくりゲーム感覚で続けて!

ゲーム感覚

毎年新しい家計簿を買うものの、費目の多さやミスをしてしまったことで続けるのがイヤになり、佐藤さんはわずか1か月で挫折。「自分でつけやすくつくった家計簿なら、続いていた時期もあるんですが…」という佐藤さん。これに対して横山さんは、「以前続けていたなら、記入する底力はあります! 自信をもって、オリジナル家計簿を始めてください」と激励。「貯金額が前の月より増えたら、家族で食事に行く」など、ごほうびを決めゲーム感覚で楽しむのが長続きのコツです。

●<ビンボー習慣の特徴>ポイントカードが多すぎる→よく行く店のカードに絞り効率よくポイントを貯める

財布には、使わないものや、勢いでつくったポイントカードがギッシリ。「ポイントにつられてつい買いすぎてしまうビンボー習慣の人の典型的な財布ですね。ポイントは、あくまでもおまけ。よく行く店で必要なものを買ったら確実に貯まるように、カードを絞り込みましょう。効率よくポイントが貯まって、おトクを最大限に活用できます」(横山さん)。

横山さんのアドバイスから1か月後、買い物回数を減らし食費を2万円カットに成功!

横山さんの診断を受け、佐藤家の家計は改善したのでしょうか? 1か月後の佐藤家を取材したところ、ほぼ毎日行っていた買い物を週2回に減らすことに成功。順調にビンボー習慣から抜け出せそうな予感です。
「以前は、『2回ですませるなんて無理!』と思っていましたが、冷蔵庫の食材を使いきってから行くことを徹底。また、食費は週2万円という予算を厳守するため、毎週土曜日にお財布に2万円入れ、その予算でやりくりするというルールをつくりました。おかげで、食費が減ってきたので、月10万円以内に収まるのは確実そうです」
食費が2万円ダウンした分は、子どもの教育費のために貯金を始める予定だとか。
「だんだんと、やりくりがおもしろくなってきて、家計簿もスタート。今度こそ長続きしそうです。お財布も新調して、ポイントカードは整理。よく行くスーパーやドラッグストアのカードなどに絞り込みました。これからは、お金の貯まる財布を目指します!」

大学ノート

「家計簿は大学ノートに線を引き、書きやすいよう工夫しました」。ページの上には“毎週土曜日に財布に2万円入れる”と決意の文字も見えます。

冷蔵庫

常に食材であふれていた冷蔵庫も、ムダなく食材を買うようになってからスッキリ。「おかずのストックも始めました」。家計と家事の好循環が始まっています!

新財布

心機一転、財布も新調。「レシートや不要なポイントカードで膨れ上がっていた状態に戻らないよう、財布に入れるカードは厳選。レシートも家計簿に書き写したら、すぐ処分するようになりました」。