家を建てるとなったら、「理想の家を建てよう!」と意気込んでしまうものですよね。外観、間取り、内装、家具やインテリアと、出来れば隅々まで自分好みにしたいもの。今回は、その“意気込み”で、家の中をまるっとDIYしてしまった!という、S邸にお邪魔しました。

目次:

施主施工で床からキッチンまで全てDIY!失敗があっても最後は完璧!改良していく楽しさ

施主施工で床からキッチンまで全てDIY!

S邸は、家具職人の夫とジュエリーデザイナーの妻、夫の中学の同級生である建築家、澤田淳さんの力が結集してできた家です。夫は澤田さんにできる限り施主施工したいと相談し、最低限の構造部分のみを作ってもらいました。
そして、フローリング、ドア、収納、外壁塗装、階段、果てはモ ルタルでキッチンまで!DIYで作り上げてしまったそうです。

p41 大判写真
すべての画像を見る(全7枚)

家の大枠は妻の希望で決定。オープンキッチンで日当たりがよく、2階のリビングは西日を上手に取り込むハイサイドライトと東側の大窓によって常に明るいのだとか。「キッチンから家全体を見渡すと、じんわり幸せを感じます」と妻は言います。

失敗があっても最後は完璧!

p42 大判写真

「面積が莫大だから家具とはまったく違った。外壁塗装などは友人、知人が大勢手伝ってくれたおかげで、なんとか短期間で仕上がりました。大変さを知らないで手を出してしまったのが、かえってよかったのかもしれません」と夫。壁のプラスターボードのパテ処理は4人がかりで4日間もかかったとか。
「パテは乾くまで時間がかかるのでひとりではとうてい無理でした。人海戦術がものを言うことも多かったです。仲間に感謝」

p43 写真4

モルタルを打って作ったキッチンはDIYとは思えない完成度!モルタルを扱うのは初めてだったため、実は1回目は粘度が分からずにポロポロと崩れて失敗。粘度を変え、ラス網やコーナー材を入れて完成させたのだそう。

p42 写真3

カウンター下は、木の収納に。家具職人の夫の本領発揮です。空間を引き締める効果をもたらしているキッチンの黒いタイルはデザイナーの妻のセレクト。夫婦の得意分野を生かした家になっているんですね。

改良していく楽しさ

p43 写真6

階段や手すり、長女の落下防止を兼ねた飾り棚も、もちろん全てDIY。

p43 写真7

自前のDIY道具を使い、カンナで滑らかにしていきます。設計士の澤田さんも一緒になって進めたというDIY。途中からかっこよさはキープしつつ、作りやすいものにどんどん変更していった。
「自分にとっても相当チャレンジさせてもらった家。次の機会があったら、こうしようと思う点が多々ある」と澤田さん。

p45 写真8

徐々に棚を増やしている寝室のクロゼット。これから扉を付けたいと思っているとのこと。今後も住みながら必要に応じて作ったり、改良していくつもりだと言います。
家具職人とデザイナー、そして設計士が総力をあげて完成した「フルDIYの家」。

設計/AIDAHO一級建築士事務所
施工/大熊工務店
撮影/目黒伸宣
※情報は「住まいの設計」取材当時のものです