皆さんは、趣味や、好きなものはありますか?本、骨董品、花、おもちゃ、食べ物、洋服……大好きなものが目の前に並んでいるのを眺めているだけで、幸せな気分になりますよね。中には、全国各地にあるものを集め歩く人も。目前に森が広がる、絶好のロケーションに建てられた家に住むYさん夫妻もそのような愛好家の方々。その素朴な愛らしさに惹かれて6年前より始めた「郷土玩具巡りの旅」で、ついに全国制覇を達成。集めた郷土玩具を並べて、理想の家を作り上げました。

目次:

希望は「玩具を飾る棚が欲しい」目前に森が広がる絶好のロケーション本当に気に入ったものだけで暮らしたい

希望は「玩具を飾る棚が欲しい」

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だるま、招き猫、張り子人形、鳩笛……どこかユニークで愛らしい、ころっとした郷土玩具がズラリ。玄関から裏庭まで抜ける廊下の壁には、4m×4段の棚が取り付けられており、Y夫妻が6年かけて集めた選りすぐりの郷土玩具が並びます。

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「今並んでるのは1軍だけ。季節に合わせて、入れ替えたり、並べ替えたりするのがまた楽しいんです」と妻。1つ1つに物語があり、語り出すと止まらない。

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夫妻の要望は、「森が見えること、そして玩具を飾る棚が欲しい」という2点だけ。

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設計を担当した永井智樹さんは、ディスプレイによる個性を表現するため、光の取り入れ方、壁や棚の色まで、ものが持つ美の力を最大限に生かす工夫を行いました。

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これだけ並んでいても圧迫感がなく、むしろ優しい気持ちになれるのは、手仕事のぬくもりが伝わってくる郷土玩具だからこそ。夫妻自慢のギャラリースペースになりました。

目前に森が広がる絶好のロケーション

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山間部を切り開いた分譲地の東端に立つY邸。ロケーションに一目ぼれしてこの地に決めたという夫妻は、家の周囲の景色を存分に楽しんでいる。2人とも実家が山の近くで、ここから見える景色は自分達の原風景に近いのだとか。

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ピクチャーウィンドウ近くのダイニングだけじゃなく、奥のリビングからも抜け感のある風景が広がるように、数段上げる工夫がなされています。

本当に気に入ったものだけで暮らしたい

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「まだダイニング専用の椅子も買ってなくて。本当に気に入ったものだけで暮らしたいから。」と夫。妻の「好きなもので固めた」キッチンには、竹製のザルや土鍋など、使いこむほど美しさが増す台所道具が並びます。
玩具や道具、今はまだ真っ白な塗り壁に至るまで、経年変化を待ち望んでいるという2人。自分達の好きなものが、時を重ねて味わいが増していくのが楽しみなのだそう。

設計/永井智樹・小山明子(akka一級建築士事務所)
撮影/川辺明伸
※情報は「住まいの設計」取材当時のものです