精神的な不調で、病院を受診することが一般的になってきました。とはいえ、病院選びのハードルはまだまだ高いものがあります。

うつ専門メンタルコーチ・公認心理師で、ご自身もうつ病に悩まされた経験をもつ川本義巳さんに、病院選びのコツを伺いました。

話す医者
病院の選び方とは

メンタルが不調…病院やドクターはどうやって選べばいい?

よくいただく質問に「病院に行こうと思うが、どうやって選べばいいですか?」というものがあります。うつ病の治療において「どのドクターに出会うか」というのは、重要なことです。

●クリニック選びがうまくいかなかった例

まずは、クリニック選びがうまくいかなかった例をご紹介しましょう。
Kさん(20代男性)は、職場にうまくなじめず体調不良に陥りました。ある朝、とうとう起き上がれなくなり「これはまずい」と感じます。同僚に同じような症状で休職をしている人がおり、その人が「うつ病」と診断されていたので自分もうつ病を疑い、近所の心療内科を受診しようとしました。
ところが「予約でいっぱいです」と断られます。それでも粘ってみたところ3日後に「ちょうどキャンセルが出たので今なら」ということで受診しました。

主治医の先生は年配の優しそうな方でした。丁寧に話を聞いてもらい「うつ病」と診断されます。ここから投薬治療が始まりました。最初は5種類の薬からスタートしました。受診できたことでKさんもほっとし「これでもう大丈夫。よくなる」と期待していたそうです。

ところが、Kさんの状態はよくなるどころか前にもまして倦怠感が増え、不安や落ち込みも大きくなり、さらに重症化していきます。通院は2週間に1回ペース。そのたびに薬が増え、当初の目的だった3か月後には起きていることもままならなくなり、薬の量は10種類以上になっていました。

家族や知人のアドバイスを受け、整体やサプリメントも試しました。そして最後に私のところにたどり着きました。

実際お会いしたKさんは、目もうつろで感情の起伏がまったくない状態でした。「これは難しいかなあ」と思いましたが、本人の希望でコーチングを受けてもらいました。でもなかなか感情が元に戻ってきません。
もしかしたら薬の影響もあるのかと、「薬が多いと思うけど、先生はどう言っていますか?」と尋ねると、「『必要だから』としか言いません」とのこと。

そこで彼にセカンドオピニオンを勧めたところ、同じことを考えていたようで別の病院を受診しました。すると初診のときに「この薬なんで出てるのかなあ?」と不思議がられたそうです。結果、薬の種類がこの日から4種類になりました。
その後Kさんはどんどん回復して、今はバリバリ働いています。