公的年金ではたりない分をカバーするために個人年金保険に加入している場合、まとめて一括で受け取るのと年払いで分割で受け取るのではどっちがおトクなのでしょうか?
ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに聞きました。

個人年金保険書類と電卓
一括受け取りと分割受け取りの手取り金額の比較
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個人年金を受け取るなら「一括受け取り」VS「分割受け取り」

一括受け取りと分割受け取りの手取り金額の比較すると、以下のようになります。

【一括受け取り】



一括受け取りの場合は一時所得になり、受取金365万円―払込保険料360万円。

―特別控除50万円=0円
所得が0円なので税金がかからないから手取りは365万
手取りで約365万円(税引き前365万円)

【分割受け取り】



分割受け取りの場合は雑所得になり、受取金370万円
-払込保険料360万円=10万円
10万円(10年分)にかかる税金(所得税5%、住民税10%の場合)は1万5000円で、手取りは368万5000円

結果、手取りで約368.5万円(税引き前370万円)

分割受け取りが、一括受け取りより3万5000円おトクという結果に。

契約時:40歳、払込満了:65歳、受け取り開始:65歳、年金受取年数10年、払込保険料:360万円の場合
※明治安田生命の個人年金保険で試算

●税金を引いても受取総額が多い分割受け取りの方がおトク

イラスト一括分割

個人年金保険とは、払い込んだ保険料を保険会社が運用して増やすことで、払込保険料よりも受け取るお金が多くなる貯蓄性のある保険。上の例では、払込保険料360万円に対して、税引き前の受取金が、一括受け取りで約365万円、分割受け取りは総額で約370万円。分割の方が5万多い理由は、毎年の受取金を差し引いた残りの分が、引き続き運用されて増えるからです。

一括でも分割でも受取金には所得税がかかりますが、一括は「一時所得」、分割は「雑所得」になり所得税の計算方法が異なります。

上の計算式のとおり、一括は受取金と払込保険料との差額が50万円以下なら、一時所得が0円になり税金はかかりません。

一方、分割の場合は雑所得の10万円(10年分)に税金がかかりますが、それでも約3万5000円(※)のおトクに。分割だと、受取期間の途中で本人が死亡した場合が気になります。本人の生死に関係なく一定期間お金が受け取れる「確定年金」や「保障期間付終身年金」なら、残りの期間の分は遺族が受け取ることができます。

※自営業者などは所得が増えると住民税が上がり、その分社会保険料が上がるので、実際におトクになる金額はこれより少なくなる。また今回の例では分割受け取りが有利だが、条件が変われば、一括受け取りの方が有利になる場合もある。