昨年からつづく自粛生活で太ってしまったことで、ダイエットに励む人は多いのでは? でも、いまいち効果が出ない…。その原因のひとつに睡眠が関係しているかもしれません。日本睡眠教育機構の上級睡眠健康指導士の長岡希実さんにくわしく教えてもらいました。

頭をかかえる女性
日々努力をしているのに成果が出ない…。その原因のひとつに睡眠が影響しているかも?(※写真はイメージです。以下同)
すべての画像を見る(全3枚)

なかなか痩せないのは「睡眠の質」のせいだった?よい眠りをもたらす改善法

おこもり太りでダイエットを始めたけれど、なかなか成果が出ない、もしくは「年々ダイエットの効果が出にくくなった」と感じることはありませんか? 思い当たる人は、もしかしたら睡眠の質に問題があるかもしれません。

●「睡眠不足」はダイエットの大敵だった

あまり知られていませんが、「食事」、「運動」と並んで「睡眠」はダイエット成功のカギとなる重要な要素です。
健康な人を対象とした研究では、睡眠時間が短いと脂肪細胞から分泌されるレプチン(食欲を抑制し代謝を促進するホルモン)の血中濃度が減少し、胃から分泌されるグレリン(食欲を増進するホルモン)の血中濃度が増加することがわかっています。

つまり、睡眠時間が不足すると、せっかく食事に気をつけて運動に励んでも、ダイエットの成果が出にくくなってしまうのです。

●「睡眠」は大切な身体のメンテナンスタイム

寝ている女性

睡眠はただ身体や脳を休ませるだけでなく、日中の活動によって脳に入ってきた膨大な量の情報を整理・記憶したり、傷ついた細胞や老廃物を修復・処理している大切な時間です。

どんなに優れた性能を誇るスーパーカーでも、メンテナンスが悪ければその性能をフルに発揮することはできません。

それと同じように、「睡眠」つまりメンテナンスがうまくいっていない人の身体は、本来の力を十分に発揮することが難しくなってしまうのです。

●何時間眠ればいいの?

では、何時間眠ればよいのでしょう。じつは、この問いに明確な答えはありません。なぜなら、最適な睡眠時間は人によってそれぞれだからです。

成人の場合、6~8時間程度が最適である人がほとんどですが、その人の最適睡眠時間は本人にしかわかりません。起きたときに眠りたりない感覚がなく、日中に眠気を感じないようであれば、それが最適睡眠時間です。

同様に、必ずしも早寝早起きが最適とは限りません。22時に眠くなる人もいれば、24時がちょうどよい人もいます。

●「睡眠ダイアリー」をつけて最適な睡眠時間を知ろう

「あなただけの最適な睡眠時間」を知るための方法として提案したいのは、「睡眠ダイアリー」をつけること。つまり、眠くなったら床に入り、自然に目が覚めるまでの時間を一定期間記録してみることです。

睡眠ダイアリーをつけるにあたって、特別な準備は必要ありません。メモ用紙とペンさえあれば今日から始められます。気分を上げたい場合は、カラフルなダイアリーが市販されていますので、好みのものを使ってもよいでしょう。

記録を始めたばかりの頃は、起床時間や睡眠時間がバラバラでも気にしないでください。記録し忘れた日があっても構いません。気負わず、ラクな気持ちで2週間程度続けてみると、あなたの最適な睡眠時間が分かってくるでしょう。

●質の良い睡眠を補助するためにできること

ストレッチする様子

寝始めの数時間にどれだけ深くしっかり眠れたかが睡眠全体の質を左右します。眠りが浅くなる原因は、パソコンやスマートフォンが発するブルーライトのほか、カフェイン、アルコール、たばこ、ストレス等があげられます。質の良い睡眠をとるためには、これらをなるべく避けるようにしましょう。

特に夜浴びる光は、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑制します。なかでも白色蛍光灯に多く含まれる青色の波長の光はメラトニンの分泌を抑制する効果が高いことが分かっています。夜9時以降は部屋の照明を間接照明に切り替えるなどして、リラックスして過ごすとよいでしょう。

また、カフェインの覚醒効果は4時間以上持続します。ティータイムは夕方までに済ませましょう。寝つけないからと寝酒を飲むことも避けましょう。寝酒は寝つきをよくしますが、睡眠後半の眠りを浅くし、中途覚醒が増えるなど、結果的には睡眠の質を下げてしまいます。

寝つきをよくするためには、夕食後に軽い運動をして一時的に体温を上げたり、眠る1~2時間前にぬるめのお風呂に20分程度入って身体を温めることが効果的です。体温を一時的に上げると、身体の深部体温が下がりやすくなり、寝つきがよくなります。

●体がしっかり休まるとダイエットに効果も!

いかがでしたか? ダイエットのために食事、運動を見直すのと同じように、睡眠を見直すことも同じように大切です。
しっかり眠れるとパフォーマンスも上がり、徐々に努力の成果も出てくるはず。
もし、これらのことをやっているのに慢性的に眠れなかったりする症状があったら、ぜひ医師に相談をしてください。

大切な睡眠、新年を機にぜひ見直してみてはいかがでしょうか?