「感謝すると幸せになれる」とか「成功する」という話を聞いたことはありませんか? あるいは、「成功者ほど感謝の言葉を口にする」などもよく言われる言葉です。

実際のところ、どうなのでしょうか。うつ専門メンタルコーチの川本義巳さんに、これまでたくさんの相談を受けてきた経験から語ってもらいました。

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「感謝すると幸せになれる」は本当?
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「感謝すると幸せになれる」は本当?「ありがとう」という言葉がメンタルにもたらすもの

私がうつメンタル専門コーチになるずっと前に「ありがとうを毎日100回言うといい」と聞き、実際にやったことがありました。当時、仕事や自分の将来に対して、かなり悩んでいたので、「よくなるのならやってみよう」と思ったからです。

そのときは「とにかく言えばいいんだな」ということで、まるで独り言のように「ありがとうございます」というのを繰り返していました。
結果どうなったかというと、全然自分の生活も人生も変化がなかったのでやめてしまいました。確か1か月もやっていなかったかもしれません。

その後、心理のことを学び、コーチになってから「ある2つの考え方」を知り、もう一度、日常的に「ありがとう」を連発するように意識しています。その結果、メンタルはどんどん安定していきましたし、いろんなことがうまく回るようになりました。

以前はうまくいかなかったのに、なぜ今はうまくいっているのでしょうか。
私が知った考え方とは、こんなことです。

●1つ目:元気な人とそうでない人の言葉には違いがある

私は仕事柄、メンタル面で不調を抱えた人の話を聞くことがあります。一方でコーチ仲間やメンターなど、元気な人の話を聞くこともあります。
この二つを比較してみると、ある違いがあることに気づきました。

メンタル面で不調を抱えている人は「すみません」という言葉が多いのに対し、元気な人は「ありがとうございます」と言う言葉をよく使っているということです。

問題がなくなったから感謝の言葉が増えたのか、それとも感謝の言葉を使い続けたらよくなったのか、それはわかりませんが、事実としてこういうことがあるということがわかりました。

●2つ目:感謝の言葉にはメンタルを安定させる効果がある

どこかで目にした文章に

「よくトップアスリートが『感謝』と言う言葉を口にしているが、あれは本当に『感謝』をしているのではない。彼らがいちばん恐れているのは、メンタルが不安定になることである。メンタルが不安定になるとパフォーマンスが出なくなるので、極力安定した状態を保ちたい。そのために『感謝』を口にする」

といった説明があり、腑に落ちた体験がありました。

この気づきをきっかけに、「ありがとう」という言葉を多用するようにしました。
やり始めて2か月ほどたったあたりから落ち着いてきて、多少のトラブルにもあわてなくなりました。そしてなんだか毎日が楽しいような感覚が芽生えてきました。

●「ありがとう」は自分のための言葉でもある

「ありがとう」を口にするとき、それをいちばん近くで聞くのは自分の耳です。
ついつい「ありがとう」は目の前の人のためにすると思いがちですが、自分のためにということも言えます。いずれにせよ、私はこれでよい状態をキープしていますし、私のクライアントさんたちも「『ありがとう』を続けたらよくなった」と言ってくれています。

言われた相手の人もいやな気分にはならないので、お互い「いい状態」になるという意味でもやった方がいいですね。まずは、コンビニやお店で会計をするとき店員さんに「ありがとう」と言う習慣を身につけるのが、やりやすいでしょう。

ちゃんと自分の耳に聞こえる大きさの声でやるということ、最低2か月は続けるということに留意して、まずはやってみてください。