ようやく緊急事態宣言が解除されたものの、まだまだコロナウイルスの収束にはほど遠い現状。仕事に大きな影響をもたらし、自身や配偶者の収入が減ってしまったという家計もあるのではないでしょうか?
収入が減ってしまった場合に、すぐにできる家計見直しの方法をファイナンシャルプランナーで節約アドバイザーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

メモ帳やスマホなど
収入の減り方によって見直すべき項目が変わってきます(※写真はイメージです。以下同)
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下がった収入に応じた対処法。慌てるよりも冷静な見直しがベスト

わが家にも特別定額給付金が振り込まれました。小学生の子どもと話し合った結果、全額を生活費に充てることにしました。
外出自粛要請が解除され、経済活動が徐々に活発化しようとしていますが、業種によっては、夏、冬のボーナスばかりではなく、毎月の収入自体が目減りしてしまったご家庭もあると思います。収入が変わってしまった場合は、そのつど見直しが必要になります。

見直しの前にまずしておくべきこととして、手取りの金額と1か月にかかる固定費(住居費、公共料金、保険料、教育費など)とそれ以外の変動費(食費や日用品費や美容費、交際費、医療費といったいわゆる生活費)がいくらかかっているのかを一覧にしてみます。

それでは見直しです。世帯の手取り月収が、どれだけ減ったかによって見直す優先順位が変わってきます。

●1~2割減は変動費の見直しでカバーが可能

買い物をする女性

1~2割ほどの収入減の場合は、変動費から見直すことで減った分をカバーすることができるでしょう。

見直し方法は、手取り月収から固定費と貯蓄の合計を引いた金額がその月に使える変動費の予算になります。

その中から、食費(外食費含む)や日用品費、服飾費、医療費、レジャー費、交際費、美容費などの予算を組んでいきます。食費や日用品、医療費といった生活に欠かせない費目はできるだけ減らさないようにして、ほかの費目の予算を減らすようにしましょう。

管理方法は、1か月分の食費とそれ以外の予算をそれぞれまとめて5週に分け、1週間ごと決められた予算の中でやりくりをしていきます。

変動費以外にも、サブスクリプションやサプリの定期購入といった出費も、なくても困らないのであれば、削れる項目になります。その月額に見合うほど利用していないものは見直してみてください。大きな節約になるはずです。

●3~4割減は、教育費や保険料の見直しが効果大

3割~4割ほど収入が減ってしまった場合は、先ほどの変動費の見直しだけではなく、大きな固定費を見直す必要も出てきます。固定費とは、住居費や公共料金、通信費、保険料、教育費、おこづかいなど毎月支払うものです。

この中からまずは優先順位の低いものから解約、契約変更などで出費を抑えていきます。格安SIMやスマホに家族で乗り換えつつ、自宅のインターネット回線の契約も見直すことで出費を減らすことができるでしょう。
大手キャリアから格安SIMに家族5人で乗り換えた場合、端末代別で、基本料金が5台分で8000円前後になるプランもあります。また、通信費は同じ格安SIMの業者が提供するひかり回線とまとめて契約をすることで割引が適用され、家全体の通信費を抑えることも可能です。

電卓を持って計算する様子

教育費、保険料は見直し方法によっては大きな効果が期待できます。

保険料も昔に加入した利率が高いお宝保険と言われるもの以外は、安い掛け捨てのプランに変更することで、保険料を大きく抑えることもできるでしょう。保険料は専門家にお願いしつつも、いくつかの提案から選べる保険相談窓口を利用するとよいでしょう。

教育費は、お子さんの意思も確認しながら絞りましょう。わが家は子どもと話し合った結果、2万円分の習い事費を削ることにしました。もちろんおこづかいも見直しの対象です。優先して生活費にお金がまわるように、家族で相談して決めていきましょう。

●5割以上収入が減った場合は引っ越しなども視野に入れて考える

5割以上収入が減った場合は、変動費、固定費の見直しはもちろん、固定費の中でも最も負担が大きいと言われる住居費の部分から見直す必要もあります。もしも、住居費が手取り月収の3割を超えるようであれば、引っ越しも視野に入れることになるでしょう。

また、車を処分してレンタカーにするなどを考えるのも手です。地域によっては車は必要不可欠の場合もありますが、まとめ買いや重い商品はネットスーパーやネットショッピングを利用するなど工夫をすることで、処分できたというケースもあります。

電話する女性

ただ、ここまで収入が下がった場合は、自力でどうにかするだけではなく、積極的に補助制度を利用してください。賃貸住宅の場合は、収入によっては「住居確保給付金」を受けられるかもしれません。ほかにも家計が急変し、収入や資産が一定以下になった場合は給付奨学金(家計急変)で月額最大7万5000円が受けられる制度もあります。

給付を受けるための要件や手続き、必要書類などハードルが高いと言われていますが、相談してみることで別の方法が見つかるかも知れません。

●貯金に頼らず、限られた収入の中でやりくりしましょう

収入が減ったり、ボーナスがカットされてしまった場合、貯蓄などで補てんをするよりもまずは、限られた収入の中でやりくりができるように家計の見直しをしましょう。
見直しは早いに越したことがありません。将来困らないためには、今対策を考えていくことが大切になっていきます。