ペットの買い主に、ますます責任が求められています。人と動物が互いに気持ちよく暮らすには、愛情はもちろんのこと、それぞれの「居場所」も大切。そこで今回は、住宅におけるネコの居場所に着目してみました。 自宅でネコを飼う場合、入ってほしくない部屋にまで入り込んだり、爪とぎで壁や家具がボロボロになったりと、さまざまな問題が発生します。こうしたありがちな悩みについて、自身もネコの飼育経験がある建築家の仲條雪さんが解決法を教えてくれました。ネコと暮らすための快適な家づくりのアドバイスもあわせて紹介。

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Q. 爪とぎで壁や家具がボロボロになるのを防ぐ手はある?

A. ネコが爪とぎする場所のそばに、爪とぎを置いてみては。破れにくい材質の障子も!

爪とぎはネコの習性のひとつで鋭い爪をキープしたり、ストレス解消や縄張りアピールのためだといわれています。対策としては、ネコが爪とぎをしたくなる場所のそばにお気に入りの爪とぎを置いて、誘導させる方法があります。

ネコが好む木の柱には布を巻いてカバーしましょう。また、室内では障子紙もネコにねらわれやすい素材。ある住宅では破られないように強化和紙段ボールの障子を使ったこともあります。

 

Q. 室内飼いのネコがストレスをためない間取りは?

A. 外が見える窓の配置やキャットステップ、キャットウォークを設置しましょう

ネコは好奇心が強く動くものが好きです。室内飼いの場合は鳥や昆虫、人の往来を眺められる窓のそばに居場所をつくると、刺激を受けて満足します。

ただし、地域ネコと鉢合わせしない2階以上の窓にしましょう。また、行動範囲が限られるのでどうしても運動不足になりがち。キャットステップやキャットウォークで高低差をつくり、上下運動ができるようにするとストレス解消に効果的です。

 

Q. 多頭飼いのネコが穏やかに暮らすためにできることは?

A. 各ネコが落ち着ける居場所をつくること!市販のキャットハウスを利用する方法も

多頭飼いの場合は、それぞれのネコが一定の距離を保って落ち着ける居場所を確保することがポイント。スペースが限られているなら、キャットステップやネコ棚などでタテに空間を利用する方法もあります。

 

運動能力が高いネコとそうでないネコのように力関係が明らかな場合は、劣位のネコが優位にあるネコから隠れて安心できる場所をつくることも大切です。市販のキャットハウスを利用してもいいでしょう。

 

Q. 入ってほしくない部屋に侵入させない工夫って?

A. レバーハンドルではなく握り玉にする。入ってもいい部屋には引き戸やネコの出入り口を!

レバーハンドルのドアはネコが簡単に開けてしまうので、「握り玉」や内側からの施錠がおすすめ。基本的にネコは縄張り意識が強く、入室禁止のNGルームが多いとストレスを感じて、かえって入りたがります。

NGルームは最小限にとどめ、ネコが通れる幅だけ開け放せる引き戸やネコ扉を設けて、自由に行き来できるようにしましょう。衣類に抜け毛がついて困る場合はクローゼットをNGルームにする方法もあります。

 

※情報は「住まいの設計2021年10月号」取材時のものです

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