「サウナー」や「サウナ部」などの名前で呼ばれる、サウナ愛好者が増えています。
サウナの発祥はフィンランドとされています。ここではフィンランド人の夫をもち、フィンランド文化に詳しいルミコ・ハーモニーさんに、教えてもらいました。
本場フィンランドのサウナ事情。フィンランド人たちはサウナが大好き!
日本の家庭に湯船があるように、フィンランドの家には大抵サウナとシャワーがデフォルトで設置されています。東フィンランド大学の調査によれば、サウナには、高血圧、心臓病などの血管疾患、認知症などの神経認知機能障害、肺疾患、鬱などの精神疾患に対するリスクを低減し、さらには、皮膚病、関節炎、頭痛や風邪を緩和する効果もあるとされています。
国連が発表する世界幸福度ランキングで、2年連続1位に輝いたフィンランドの秘密のひとつは、サウナにあるかもしれません。
●フィンランドのサウナ事情
日本でサウナと聞いて思い浮かべるのは、乾燥した木の部屋で、とにかく温度が高く、長居できないようなもの。それはドライサウナと呼ばれます。
一方、フィンランドの一般的なサウナはロウリュ(Löyly)と言われ、石の上に水をかけてその蒸気を楽しむスタイル。ドライサウナに比べて温度はそこまで高くないのですが、蒸気によって発汗作用があります。アロマをたらして楽しむ場合も。
フィンランドでも、サウナで温まったら、一度外気で休憩して、またサウナへ戻るを何度も繰り返します。
今年の夏に私がフィンランドに行ったときは、サウナの後にフィンランド最大のサイマー湖に飛び込む、というのをやりました。もちろんサウナは熱いのですが、外気20℃程度で水温は15℃程度なので、サウナの外に出たらすぐに冷めてしまいます。
湖に飛び込むよと言われて一瞬怯んだのですが、70歳超えのおばあちゃまたちがすっぽんぽんになってどんどん湖に飛び込んでいる様を目の当たりにすると、飛び込まないわけには行かなくなり、思いきって飛び込みました! 冷たい!
でも泳いでいると体が温かくなってきて、またサウナに入るを何度も繰り返したのが、いい思い出です。
サウナでは、白樺の枝葉を束ねたヴィヒタ(vihta)と呼ばれるもので体をたたく習慣もあります。熱された石の上に水をかけ、ヴィヒタも水につけて歌を歌いながら、フィンランド人たちがペシペシ叩いてくれました。
ふわっと薫る白樺の香りと「あなたの幸せを祈るわ」という歌が合いまって、フィンランド人の幸せ観に触れた気がしました。
●フィンランドのサウナ文化がわかる映画
そんなフィンランドのサウナ文化がよくわかる映画が公開されます。
『サウナのあるところ』は、サウナの中でフィンランド人男性が秘めていた本音や悲しみを打ち明けていくという物語。
普段寡黙なフィンランド人は、サウナの魔法でやっと吐露できることもあるんだなと感じさせられます。今回ご紹介したロウリュや、車や電話ボックスのサウナも登場して、フィンランドらしさがつまっています。
●映画『サウナのあるところ』9月14日(土)よりアップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、新宿シネマカリテ他全国順次ロードショー。