2024年に創刊50周年を迎えた中野区の地域新聞「週刊とうきょう」を発行し、93歳を過ぎた今も新聞記者を続けている涌井友子さん。仕事でもプライベートでも、人とつき合う際に必ず意識している大切なルールがあると語ります。涌井さん流の人間関係の築き方について、詳しく伺いました。
すべての画像を見る(全3枚)周囲の人々の優しさに見合う人生を送りたい
「友子さんのように、おおらかに生きるコツは?」と尋ねられることもあります。
自分では、とくに明るいともおおらかとも思っておりません。でも、ちょっと呑気なところがあって、それがおおらかに映るのかもしれませんね。
私の人生はけっして順風満帆というわけではありませんでした。それでも、なんとか前を向いてやってこられたのは、やはり人に恵まれたからだと思います。
私はとくに秀でているものはないのですが、中野区に居を構えてからは、本当にたくさんの人たちのお世話になりました。火事や水害など、人生最大のピンチに見舞われたときには、必ずご近所さんや仕事関係の方々が手を差し伸べてくださった。「人間って、なんてすばらしいんだろう。このご恩に見合うような人生を生きなくては」と、救われるたびにそう思ってきました。
友人との信頼関係を築くために必要なこと
また、トラブルやピンチではなく、日常生活でも私の心を癒やしてくれたのは友人たちとの交流でした。
ローカル紙とはいえ、メディア事業者。一般には入ってこない情報もいろいろ知ることができる立場です。でも、どんなに小さな秘密でも、ほかに漏らしてはならない。私はそれを自分に課してきました。
たとえば、Aさんの秘密をBさんに漏らしたとします。するとBさんは、私のことを「信用できない人」と見なすことになるでしょう。自分の秘密や悪口もよそでペラペラ話しているに違いないと。仮にBさんに便宜を図ってそうしたとしても、安易に秘密を漏らす人間は信頼されないのです。
これは仕事だけでなく、プライベート、とくに友人関係では大切なルールだと思います。
私は、さまざまな組織・団体、いろいろな分野の友人、知り合いがたくさんおります。そのルールを、すべての人のつき合いにおいて守ってきました。なんてことのないルールのように思えますが、それを貫くと、皆さんはとても私のことを大切にして、まじめにつき合ってくださるのです。