2024年に創刊50周年を迎えた中野区の地域新聞「週刊とうきょう」を発行し、93歳を過ぎた今も新聞記者を続けている涌井友子さん。涌井さんが毎年続けている梅仕事と、母から受け継いだ秘伝の梅干し&梅エキスのつくり方について教えてもらいました。

梅干しづくり
母から継承した秘伝の梅干しづくりをする涌井友子さん
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家族の健康を守る「梅仕事」

毎年、5月中頃になると、私はソワソワしてしまいます。

梅仕事の季節です。

とくにここ数年は天候が不順で、初夏から梅雨への移行が昔のように読めなくなりました。せっかく準備を整えても、雨が降ったら台無し。八百屋さんの店先に青梅が並ぶ頃には、空を仰いで、梅仕事の段取りについて考え始めるのです。

私の家では、梅干しと梅エキスを毎年つくります。とくに梅干しは、病床にあった母から障子越しに教えてもらった秘伝の味。今では娘たちに伝え、さらに孫たちに継承してもらいたいと思っています。

「梅エキス」はおなかの薬

私が子どもの頃には、食卓に梅干しは欠かせませんでした。おかずとしてはもちろん、整腸作用などもあったかもしれません。

また、梅の果汁を煮詰めてつくる梅エキスは、まさにおなかの薬でした。私の地元(静岡県藤枝市)では息子が戦地に行く際、母親は必ず梅エキスをもたせたと聞いています。水あたりなどがあったときには、どんな薬よりも効果があったとか。

私流の梅干し・梅エキスのレシピを紹介しましょう。

涌井流「梅干し」のつくり方

梅干し

(1) 熟した梅を使います。ヘタを取って丁寧に1つ1つ洗い、ひと晩水につけてアクを取ります。

梅干しづくり

(2) 1つ1つの梅を焼酎にくぐらせ、粗塩をまぶしていきます。漬物石を載せ漬け込みます。2~3日で梅酢が上がってきます。私は梅酢の様子を見ながら1~2週間ほど漬け込みます。

※ 焼酎は35度がいい。粗塩は梅の重量の8~10%。雑菌予防のため漬物用のビニール袋を入れたほうがいい。

梅干しづくり

(3) 梅酢が上がっている漬け込んだ梅に赤ジソを入れます。赤ジソは1回粗塩で揉んで出た汁を捨て、もう一度粗塩でもんだものを加えます。

(4) 3週間ほど漬け、梅雨明けの頃のお天気のよい日が続くときに梅と赤ジソと、梅酢に分け、3日くらい天日干しにしてでき上がりです。

私は梅だけをほかの容器に入れ、1年ほど寝かせます。その方が塩味がまろやかになると思います。梅酢は料理などに使います。赤ジソはカラカラに干し、ゆかりにします。