ひとり暮らしをきっかけに、キッチン家電を見直した著述家の中道あんさん。ものを減らしてシンプルな暮らしを送るために、「電子レンジ」を手放したそう。今回は、電子レンジなしの生活で感じたことについて伺いました。
すべての画像を見る(全3枚)ひとり暮らし、電子レンジをもたない選択
今年からひとり暮らしを始めたのですが、電子レンジは置かないことにしました。その理由は、「場所を取るから」。限られた空間のなかで、できるだけものを少なくして、シンプルに暮らしたいと考えたのです。
また、ものをもつということは、それに伴って管理が必要になるということです。定期的にお手入れをしなければなりません。とくにキッチン家電はホコリや油汚れ、焦げつきが気になりやすく、こまめな清掃が必要です。そのため、ものが少ないほど掃除もラクになると考えました。
今は、便利ではあるけれどなくてもなんとかなるものは、基本的に家に置かないようにしています。たとえば、オーブントースターもずいぶん前に処分しました。でも、トーストやピザは魚焼きグリルでつくれるので、とくに困ることはありません。
それと同じように、「電子レンジもなくても大丈夫なんじゃないの?」と思ったのです。これまで使っていたのは、ビルトインのオーブンレンジでした。引っ越すまでの4年間使っていましたが、見た目はほとんど新品のままでした。というのも、料理の温めにしか使っていなかったからです。
コーヒーの温め直し、冷凍ご飯の解凍、つくりおき料理の温め直し、そして焼きイモ(犬と一緒に食べるおやつ)。
それなら、なにかほかの方法で代用すれば、きっとどうにかなる。そう思ったのです。
電子レンジなしでも大丈夫!手間を楽しむ暮らし方
先に結論を言ってしまうと、この半年間、電子レンジがなくて困ったことは一度もありません。後悔したこともありません。むしろ、「電子レンジはあって当然」という思い込みが外れたことで、かえって健康的な食生活になったのでは? と思うくらいです。
わが家では、30年ほど前から炊飯器を使わず、お鍋でご飯を炊いています。食べるときに炊きたてホカホカのご飯を食べる。これが本当においしいのです。
もちろん、ご飯が冷めたら電子レンジでチンすれば、また同じようにおいしく食べられます。でも、今は電子レンジがないので、新生活ではせいろを取り入れて、蒸して食べるようになりました。これもかなりおいしい。
この「ひと手間」を“面倒”と思うか、“それくらい”と思うかで、電子レンジなし生活の苦痛の度合いは違ってくると思います。私は、明らかに後者のタイプです。
ただ最近では、冷やご飯のまま食べることも多くなりました。というのも、温かいご飯に比べて、血糖値の上昇を抑える効果がある、と耳にしたからです。それに、冷やご飯のほうが満腹感を感じやすい気がして、食べ過ぎ防止にもつながっています。
これまでは、温かいご飯のほうがおいしいというイメージがあり、冷えたご飯は避けてきましたが、今では、「冷やご飯は健康的な食べ方」という認識に変わりました。
さらに、せいろを取り入れたことで、簡単な蒸し料理にも挑戦できるようになり、料理のレパートリーも増えました。今ではそれを楽しんでいます。