いくつになっても楽しい「推し活」。40代で都会暮らしをやめて北海道に移住し、SNSで発信する「究極にストレスフリーな生活」が、ミドルシニア世代から絶大な支持を受ける「りさねーぜ」こと酒井りさこさんは、推し活をきっかけに「ひとり旅」の楽しみ方が変わったそう。毎日がもっと充実する、推し活と人間関係について詳しくお話を伺いました。

りさねーぜ(酒井りさこ)さん
りさねーぜ(酒井りさこ)さん
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推し活でつながったコミュニティこそが居場所だった

私、SMAPが好きなんです(解散してしまいましたが…)。30代半ばからは、全国のコンサートにも行っていました。

会社でもプライベートでもつらいことがあり、どこにも居場所がないと感じていたあの頃、「推し活」が唯一リラックスできるところでした。

ちょうどインターネットが普及し始めた頃で、ファンサイトや掲示板で熱い思いを語り合ったり、遠征(住んでいる地域以外のコンサートへ行くこと)先のグルメ情報を収集したり、そんな時間がとても楽しかった記憶があります。

ミクシィなどのSNSも登場し始め、そこでつながった推し活仲間と、各地のコンサートのあとに打ち上げ(飲み会)なんかもしていましたね。その人たちの本名すら知らないこともあるわけですが、好きなものが同じというだけで、こんなにも楽しく盛り上がれるんだということを知りました。

推し活のおかげでハードルが下がったひとり旅

SMAPのCD
愛すべきSMAPの軌跡。推し活にまつわるものは大事に保管しています

私たち50代が学生だった頃は、インターネットどころか携帯電話すらなかった時代。コミュニティはリアルのみ。というか、ほぼ学校のみ。みんな同じテレビを観て、同じ音楽を聴いて、同じ場所で遊んでいました。

きっと、楽しみの方向性を「強制」されることに違和感を覚える子もいたんだろうなと思うと、令和はSNSを通じて「好き」が同じ人とつながれる時代。SNSは、悪い側面ももちろんありますが、正しく活用すれば、いいことのほうが多い気がします。

推し活で得たことは、もうひとつあります。それは、ひとり旅がしやすくなったということ。

だれかとする旅行も楽しいのですが、いくら仲がよくても、長時間一緒に過ごすと、どうしてもイラッとすること、ないですか? それで気疲れしちゃうので、40代以降の旅行はもっぱらひとりです。

●観光地めぐりより自分に合っていた「推し活遠征」

初めてのひとり旅は26歳のとき。スペイン・バルセロナに5泊、フランス・パリに2泊しました。初心者でいきなり海外旅行とは、なかなか思いきったなと思いますが、若さゆえかもしれません。

バルセロナの日本料理店で知り合った日本人男性と、現地のゲームセンターでバイクゲームをし、シャルル・ド・ゴール空港では迷子になり、空港職員に「アイアム、トゥー、ナリタ!」と必死で訴え、なんとか帰りの飛行機に乗り遅れずにすむなど、どれも、とってもいい経験になりました。

今では海外でも国内でも、ひとりで旅行することに抵抗はないのですが、私の場合、観光地をめぐることにそれほど興味がないので、行った先になにか目的やイベントが欲しいんですよね。

そんな私にとって、「推し活遠征」というのは、まさにうってつけだったわけです。