2月も下旬になり今年の中学受験もひと段落しました。一説によると、中学受験で第一志望校に合格できるのはわずか3割と言われるほど。そんな激戦である受験を成功に導くために、塾だけでなく個別指導塾や家庭教師を併用するべきかどうか、多くの保護者がこの悩みに直面します。追加の教育投資、いわゆる「課金」が話題になる中、焦って手を広げることが逆効果になる場合も。今回は中学受験専門塾スタジオキャンパス代表・矢野耕平先生に、中学受験に関わる「お金」のリアルについて教えてもらいました。

勉強する女の子
中学受験にまわる「お金」のこと(※画像はイメージです)

教育費は「とにかく課金」と「メインの塾代のみ」どちらが正解?

「普段通っている塾の授業に加えて、個別指導塾や家庭教師を併用した方がよいのでしょうか?」

6年生の保護者を中心にこういうお悩みをSNSなどで見かけることがあります。中学受験漫画『二月の勝者』(高瀬志帆著)で「課金」という表現が登場したことがきっかけでしょうか。普段の塾の指導に加え、個別指導塾や家庭教師にアウトソーシングすることを「課金」と総称するようになりました。

この熟語の字義どおり、プラスアルファで別の指導を仰ぐのであれば、これまでの塾代に加えて相当の金額を負担せねばなりません。ただ、刻一刻と迫りくる中学入試を考えれば、保護者はそういう出費は惜しむべきではないと考えるようになるのでしょう。

しかしながら、やみくもになにかを併用すればうまくいくわけではありません。かえって「指示系統が複雑化すること」でわが子の成績低下を招いてしまう、つまり、逆効果になってしまうことだって十分あるのです。お金をかけたら、かえって成績が悪化することもあるのです。

「課金」すべきか悩んだときに、確認すべき3つのポイント

「課金」するか否か悩んだときは、次の3つのポイントを保護者は確認してほしいと考えています。

(1) 今取り組んでいるテキストは、質量ともにいまの学力レベルに合っているのか。

(2) 分からないところは、すぐになんらかの手段を講じて解決できるようにしているか。

(3) 必要以上に多くの課題に取り組んでいたり、遠まわりの学習をしたりしていないか。

これらを確認してまずは通っている塾に相談する。それでもわが子の課題が改善できない、特定の科目の苦手意識がどうしてもぬぐえないというのであれば、そこで初めて個別指導塾や家庭教師の併用に踏みきりましょう。

今申し上げた3点の確認後は、わが子の状況分析ができているわけですから、併用する個別指導塾や家庭教師の指導が始まる前にそれらの具体的な課題を伝える、できればそれらを書面化して手渡すと、先方もどういう指導をすべきなのかが明確になりますし、助かるはずです。