ドラマ化もした『西園寺さんは家事をしない』『ホタルノヒカリ』など、数々のヒット作を持つ漫画家のひうらさとるさんは、大の旅行好きでもあります。ここでは、ひうらさんの旅のヒントがつまったエッセイ『58歳、旅の湯かげん いいかげん』から、大人世代が旅を楽しむためのヒントを抜粋して紹介します。

橋に立つ女性
漫画家・ひうらさとるさん(58歳)
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50代は旅を楽しむのにちょうどいい時期

私は今、58歳。年下のお友達も多いのですが、50代前半の彼女たちを見ていても、最近では子育てをしていた人も手が離れ、自分の時間がもてるようになったという人が多いようです。私はいわゆる高齢出産だったので、わが子はまだ完全に手が離れたとはいえませんが、それでもだいぶ自由になる時間は増えてきました。

親の介護などの問題はありますが、もし「今は大丈夫」ということであれば、50代、60代は、自分が行ってみたいと思っていた場所に旅に出るのにちょうどいい時期だと思います。まだまだ気力も体力もあって元気ですし、変わっていく世の中についていく感性も衰えていません。

これがもう少し経ってしまうと、健康や気力というところでも心配が出てくる可能性があります。いくら人生100年時代とはいえ、自分の親世代を見ていても、新しいビジネスを始めたり、最新のテクノロジーやライフスタイルに適応できるのは、60代〜70代前半くらいまでなのかなという気も。

そう考えるとじつは私自身、あともう20年はないんですよね。「いつか行きたい」なんて言っていると、あっという間に人生が終わってしまう。あまり悠長なことを言っていられないのも私たち世代です。

子育て、コロナ禍…ご無沙汰だった「旅の勘」を取り戻すために

歩く女性

それに、子育て中というブランクや、コロナ禍などもあった昨今は、「知らない間に旅の勘が衰えてしまった!」という声を聞くこともあります。

先日、同世代の友達が、私が暮らす兵庫県の城崎温泉に「遊びに行こうかな」と言うので、「いいね、おいでおいで!」と迎えようとしたのですが、「旅行代理店に行けばいいのかな」と、意外なことを口にしたのです。

彼女は仕事もしていましたし、出張なども多かったと記憶していますが、少し時間が経っただけで、確かに今はひと昔前とは違う旅のスタイルが主流になってきています。慣れている方には当たり前のことですが、今は旅行代理店に行かなくても、スマホさえあれば国内も国外も、ほとんどの旅の手配は自分でできます。

もちろん、代理店を利用しても良いのですが、私たちはまだまだ追いつけるはずですから、一度チャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。