焚き火のおかげで、心まで温まる1日に

荷物
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当日の朝。よかったー晴れている! 私はイモとカボチャと薪の入ったバックパックを背負う。海外を旅していたときの懐かしい重さだった。平日の朝に薪を背負って電車に乗る人はそうおらんだろう。忙しない師走の都内で、キャンプ場を目指しているというだけでワクワクしてきた。

到着した平和島公園、ああ、空が広いよ。森のようなキャンプエリアにいくつもの区画が独立している。1区画が思ったよりも広いので、5人くらいで集うには丁度よいなあ。

火をおこす

さっそく火をおこし、網の上にミルクパンをかけて湯を沸かす。よく乾燥させていたので、木々は美しく燃えていった。かまどがついている場所を借りることができたので、ホイル焼きやBBQやなんでもできる。フライパンでは焼きそばがつくられていく。

「火を見ることって最近あんまりないよね」

「そうやね、温かいなあ。なんか落ち着くわー」

火を囲んで語らい、ただぼーっとする時間のなんと贅沢であることよ。と思っていたら、

「カボチャ焦げてるでー! お肉も焼けたよー! お湯沸騰してるー! 焼きそばできたよー!」

焼き芋

そうだよ、ぼーっとしてられないくらいにスピーディに焼けていくよね。火の力ってすごいねえ。

庭の木が炭素と水に分解されていくのを見届ける。春は美しいミモザの花をつけ、夏は木陰をつくってくれ、秋は小鳥たちを呼び、冬はクリスマスリースをつくらせてくれた。そして今、火となって温かい場所と友人たちとのかけがえのない時間をくれている。木という生命の循環をここまで見届けることができて、私は心身ともに温められていた。

帰り道、すっかり軽くなったバックパックを背負って、駅でみんなと別れた。

「いい一日だったねえ。ありがとう」

「またやろうね。まだ薪あるの?」

「あるよあるよ。これまだ3分の1だったからね」

ということで、しばらく焚き火は続きそうだ。炭や灰は持ち帰らないといけないけれど、それらは野菜をつくる上で必要不可欠なので、また庭の土に戻した。一年の締めくくりに、焚き火をするって、一年をじっくり振り返る意味でも本当によかったです。都内にこういう場所を残してくれていることにも感謝したいなと思いました。

今年も、「暮らしっく」を読んでくださってありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。みなさんにとって、2025年が穏やかな日々になりますように。

本連載をまとめた『暮らしっく 』(扶桑社刊)は発売中。

暮らしっく

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