ペットの柴犬の写真をX（旧Twitter）に投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている＠inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第76回は、「犬と出かけた生石高原で思いを馳せたこと」について。
野生のカモシカに思いを馳せた少し意外な理由
11月下旬、和歌山県海草郡紀美野町の生石高原（おいしこうげん）に出かけた。お母さんが運転してくれて、後部座席に私、私の膝上席に犬が乗車。犬を両腕で抱えシートベルトとなる。
生石高原の麓を走っていたときお母さんが「左見て～！！」と子どものように声を上げた。言われるがまま左を向けば、野生のカモシカが私たちを見下ろしていた。「ちょっと小さい？」「ほんまや子どもなんかな」やけに目が合ったのは、この子も車中の犬を見て「んん？ 犬？」なんて不思議がっていたんかな。
「あの子には歯あるんやろか」なんてカモシカの歯に思いを寄せる。と言うのも、inubotのSNSで見てすでに知っている方もいるだろうが、犬の左下の犬歯が折れたのだ。
犬は歯が折れた日から今日まで不調そうにしたり、不機嫌になることもない。散歩を拒絶したり、食欲をなくしたり、ふさぎ込んだり、痛そうに鳴いたり、口元をかくとか違和のある行動もない。それがまだ救いであった。狂犬病の注射を打ったあとのほうがよっぽどありありと傷心をあらわにする。
しかしセカンドオピニオンで診てもらった先生から「痛くないことはないですよ」と言われた。やっぱり痛いんかな。犬の痛みや気持ちを軽くも重くも決めつけないようにしよう。
歯が折れた日から数日間、ドライフードから缶づめのウェットフードに食事を変えるようにしたら便秘になってしまった。食事だけが原因ではないかもしれないが、ドライフードに戻すと便通もよくなってひと安心した。
食事についても先生に尋ねたところ、ウェットフードはほぼ水分で、水分は患部にしみやすいのでドライフードのほうが食べやすいらしい。
数日ぶりに犬が排便した朝の散歩は、家に帰ったら真っ先にお母さんのところに向かって「うんちしたー！」とうんちの入った袋を天に高く掲げた。
便秘解消した翌々日、久しぶりにミカン畑に連れて行った。相変わらずの全力疾走がまぶしかった。犬の雑誌で便秘について書いてあったが、お尻の筋肉を鍛えるのも対策の1つになるそうだ。歩行だけではお尻の筋肉を使わないので、軽いランニングでもいいので走るのがいいねんて。
