ダメなものは「ダメ」と言う
すべての画像を見る(全2枚)酒井さんは「病気や障害があっても、『ダメなものはダメだ』ときちんと伝えることも大事」だと続けます。果たしてその真意とは。
「病気や障害があると、つい子どもを甘やかしてしまうという親御さんもいると思います。でも、子どもは、甘やかされるとついそれを利用したくなってしまうもの。自分自身もそうだったからよくわかります(笑)。甘やかされると、次第に『障害があるからできなくても仕方ない』『病気があるから無理だ』と諦め癖がついてしまうようになる。それだと、子ども自身が大人になったときによい結果になりません」
子どもに対して「これはダメだよ」と伝えるときは、病気や障害について触れてあげることが重要なのだとか。
「『この病気があって辛いかもしれないけれど、これは将来のためにやっておかなければならないことだよ』と、具体的な未来のビジョンを持たせることが大切です。そうすることで、子どもは自分の病気を理解しつつも、前向きに物事に取り組むことができると思います」
希望のある未来を見せてあげる
「トゥレット症について発信をしているため、同じ病気をもつ子どもたちの親御さんたちとお話しする機会も多いです。その際、いつも言われるのが『この子が将来どうなるのかが不安でたまらない』というひとことです。たしかに、病気があると健常者の方と同じように働いたりできるのだろうかと不安に駆られる気持ちもわかります」
ただ、そんな不安があるからこそ、子どもにはポジティブな未来を伝えてあげてほしいと酒井さんは語ります。
「病気や障害と向き合うのは大変ですが、あまりに不安だらけの将来像ばかり伝えられては、『どうせ自分が頑張っても意味がないんだ』と子どももやる気を失ってしまいます。『この病気があってもこういう選択肢がある』『この障害があってもこんな風に活躍している人もいる』といったロールモデルなどを見せてあげることで、子どもにもポジティブな気持ちが生まれ、夢にチャレンジしようという気持ちが湧いてくるはずです」
当事者としてメディアに多数出演してきた酒井隆成さんが、そのパワフルな半生と、啓発への想い、そして人生を楽しんできた秘訣を語った著書『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』(扶桑社刊)は、現在発売中です。