脳の老化予防のために、せっせと脳トレドリルをやっているという人は多いかもしれません。でも、精神科医の和田秀樹先生は、「脳を鍛えるのなら脳トレドリルより家事のほうが断然効果が高い」と話します。そんな和田先生に、家事の代表でもある料理で脳を鍛えるコツについて教えてもらいました。
すべての画像を見る(全6枚)料理は「最高に質のいい脳トレ」になる
脳を若々しく保つには、脳の特定の場所を鍛えるのではなく、脳をいろいろな形で使うことが大事です。精神科医の和田秀樹先生は、「そのためには、いろんな段階を踏んだり、いくつかの作業を並行して行ったりする活動が必要なのですが、家事はまさにそれに当たります。特定の作業を続ける数独やパズルより、日常的に行っている家事のほうが、脳トレとしての質は圧倒的に高い」と言います。
家事のなかでもとくにおすすめなのは「料理」。献立を考えるところから始まって、材料をそろえるには買い物に行く必要もあります。そして、包丁で切るなどの細かい作業や電子レンジを使った下ごしらえ、鍋を火にかけたら火加減を調整したり、味見をしながら調味料をたしたりと、いろいろな作業を並行して進めるので、脳も体もフル活動。
つまり、毎日料理をしているという人は、それがそのまま脳の老化防止につながっていると言えます。
カレーをスパイスからつくって脳を刺激する
和田先生は「『脳を鍛える』と言う意味では、レシピどおりにつくるより、自分で考えたオリジナル料理をつくるほうが効果は高くなる」と言います。レシピに頼らないとなると、必ずしもおいしくできあがるという保証はありません。でも、おいしくするための創意工夫をするからこそ、脳は鍛えられるのです。
たとえば、市販のルーに頼れば簡単につくれるカレーを、あえてスパイスからつくってみるのはどうでしょう。使うスパイスの種類やその配合具体によって、多様な味に仕上がるのはカレーという料理の奥深さであり、おもしろさでもあります。
また、どんなスパイスを、どこで買うか、あるいはそのスパイスの背景にどんなストーリーがあるのかなどをいろいろ調べたりすることも、脳のよい刺激となるに違いありません。
オリジナルレシピのアウトプットで、さらに脳が活性化
和田先生がおすすめするのは、オリジナルのパンを焼いてみるということ。もちろん手間はかかりますが、オーブンさえあれば、パンを焼くこと自体は意外と簡単です。最初はパン教室に通ったり、YouTubeや本を参考にしてもいいですが、慣れてきたらぜひ、そこにオリジナリティを加えてみてください。
おいしいパンが焼き上がったら、そのレシピを周りの人たちに教えてあげたり、デジタルツールに強い方ならYouTubeにアップしたりするとよいでしょう。そのような外向きの発信(アウトプット)は、さらなる脳の活性化につながります。