フランス人の夫と結婚し、パリに在住するフリーアナウンサーの中村江里子さん。自分らしい暮らしを楽しむ中村さんに、お母様との心温まるエピソードと、改良を重ねた「鶏そぼろ」のレシピを伺いました。ほどよい甘みを感じる煮汁が、食欲をそそります。

中村江里子さん
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母譲りの甘じょっぱい「鶏そぼろ」

わが家の子どもたちは、東京の実家で母、彼らにとってはおばあちゃん(愛称「ミーマ」)がつくってくれる料理が大好き。なかでも「鶏そぼろ」は、私も幼いときから好きだった定番です。今回は、その母譲りの味を私流に少しアレンジしたレシピでご紹介します。

実家の母の「鶏そぼろ」といえば、たくさんつくってご飯と混ぜて、鶏そぼろご飯にしたものです。それが食卓に登場すると、家族がめいめいに好きなだけよそって食べていたものです。私がパリに暮らし、子どもたちを連れて帰省するようになっても、母はこれをつくってくれます。「つくるのがラクだし、用意しておけば、お腹がすいたときに自分たちでパッと食べられるじゃない」。ということで、ミーマの鶏そぼろは、孫たちにとっても親しみのある味なのです。

母は東京の人なので、味は濃いめ。お砂糖がしっかり入って甘みがあるからこそのおいしさです。つくり慣れた母のレシピは、分量がきちんと決まっているわけではなく、お玉を使った目分量と長年の勘でいつもの味になっています。

家族に「味が違う」と言われ、レシピを改良

パリでこれを再現しようとしたとき、私はもう少し薄味でつくってみようと思いました。すると子どもたちの反応は、「ミーマの味と違う」。以来、少しずつ分量などを調整しながらわが家のレシピが定まってきました。

私流の鶏そぼろは、味つけと色の点では母のより薄めです。しかし、ご飯に十分絡まるだけの煮汁があって、しっとりした食感というところは同じです。また、片手鍋を使うこと、1度に大量につくるというのも東京の母譲り。

つくりおきしておくと、私の留守中も、子どもたちが自分で温め直して食べてくれます。煮汁がしっかりあるので、繰り返し火を入れても大丈夫。彼らが最後におやつがわりに食べるころには煮詰まって、きっとミーマの味に近くなっていることでしょう。