SNSや書籍を通じて、スープのレシピを発信している有賀薫さん。ご自宅のリノベーションに合わせ、リビングにテーブルとキッチン機能を組み合わせた「ミングル」という装置を生み出したことで話題です。

ここでは実際に「ミングル」を使って、忙しい人でも簡単につくれて、十分おかずになる汁物のレシピを教えていただきました。

有賀薫さん
スープ作家・有賀薫さんに教わる、おかずになるみそ汁
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ナス、豚肉、ミョウガだけで十分。さっとつくれるみそ汁のレシピ

「忙しい日々のなかでおかずを何品もつくるのは大変だけど、具だくさんのスープなら、手をかけずにメインのおかずになる」という思いで、日々スープのレシピを発信している有賀さん。
そんな有賀さんが考案したごはん装置「ミングル」は、テーブル、コンロ、シンク、食洗機を一体化させたムダのないデザインです。

「今日は冷蔵庫にある食材を使って、初夏の滋養あるみそ汁にしましょう」と有賀さん。冷蔵庫から取り出したのはナスと豚肉、そしてミョウガでした。ゴマ油、サラダ油、みそ、黒ゴマを使って調理していきます。

ナスを切る様子

「ナスは根元の方まで栄養分とうま味がつまっています。だから切るときは、ヘタのギリギリ上の部分を少しカットするのがポイント。そして私のスープは“食べるスープ”。全体をごろっと大きめに乱切りしていきます」

IHコンロの上に鍋を置き、ゴマ油とサラダ油を適量入れて、まずナスに火を通します。

「ゴマ油は味にコクが出ますが、少し重たいと感じる方は、こうやってサラダ油と合わせて、味わいを加減するのもおすすめ。もちろん、コクがあるほうが好きな方は、ゴマ油だけでもOK」

キッチンバサミを使って肉を切る様子

続いて豚肉を加えます。

「生真面目に包丁で切る必要はなし。包丁を使うのが面倒という人は、キッチンバサミを使って食べごたえのある大きさにカットしたっていいんです」

豚肉とナスに火が通ってきたら水を少しずつ注ぎたします。豚肉から出るアクは、気にならない程度にすくって取ります。

みそを溶いている様子

「みそを溶いていきます。こしたければこせばいいですが、仕事が忙しかったり、そこまでする気力がない日は、別にがんばらなくてもいいんです。大豆や麹のツブ感が少ないみそを、あらかじめ買って使うという手だってありますね」

最後に、すった黒ゴマをプラス。沸騰する前に火を止めて、器に盛りつけたら、お好みで切ったミョウガを散らします。

これで豚肉とナスのみそ汁は完成。材料を切るところから盛りつけまで、わずか10分強でうま味たっぷりのスープが完成しました! ひとつの器の中に、野菜、タンパク質、脂質…と、栄養が凝縮されています。

お米とニンジンのあえものとみそ汁

これにお米と、「簡単につくりおきをしておいた」という、ニンジンのあえものを添えたら、しっかりとした献立に。

「昼食や、遅く帰ってきた日の夕飯なら、これで十分ではないでしょうか。育ち盛りの子どもがいる家庭や、もう少しボリュームが欲しい場合は、この具だくさんおみそ汁に、買ってきたお総菜を添えても。スープは簡単だから手づくりするけど、準備や片づけが大変な揚げ物は、お総菜を活用するんです」

「『ウチのごはんはこれでよしとする!』という判断力が現代人の料理には必要」と有賀さんは言います。

「昔から言われ続けている一汁三菜にとらわれないで。スープづくりを続けていくと、そういった食に対するメリハリもつけやすくなる気がしています」

また、今や共働き世代に欠かせない「つくりおき」についてもこんなヒントをくれました。

「やりすぎなくてもいいと思いますが、余裕があるときに、素材の下ごしらえだけをしておくといいかもしれませんね。たとえばキノコを何種類か買ってきて、手でさいてフライパンに入れ、塩を軽く振って火を入れておくと、いろいろな料理に使いまわせる『塩キノコ』ができます。味つけを塩だけにするというのが使いまわしのコツです。あとから自分の好みで味をたしてもいいし、冷凍もできますよ」

有賀薫さんのインタビュー第1回「

あえてキッチンの機能を減らしたら料理が格段にラクになった」、第3回「毎日の料理がしんどい人に、プロの料理家が伝えたいこと

」も公開中です。こちらもぜひご覧ください。

【有賀薫さん】

スープ作家。東京都出身。玩具メーカー勤務、フリーライターののち、2012年から朝のスープをつくり始める。2018年に出版した『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社刊)が、第5回レシピ本大賞入賞