待機老人、悪質業者…問題はたくさん

村井理子さん
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――高齢化社会で、“待機老人”問題も深刻ですよね…。作中では、問題提起として、悪質な業者や商法など「高齢者を騙す人々」についても描かれていますよね。

村井:どんだけ騙されるんだよって話です。義父母の家には、いつの間にか床下に扇風機が100個くらいありました。電気もいつの間にか関西電力から格安電力っていうのに変わっているし(苦笑)。食品もたくさん! キャンセルするの、どれだけ大変か…。

いちばん困るのは電話をかけてくること。最近は不要品買い取りの話が多い。電話にお義母さんが出ちゃうと、はいはいって受けちゃうので困るんですよ…。本作でも書きましたが、男の人の怒鳴り声に驚いたお義父さんが玄関まで這って行ったら、義母が不要品買い取り業者の人に生ゴミを渡して、逆ギレされていた…なんてこともありました。

1から10まで守ることはできないんですが、何回か高額の被害を受けているので、やっぱり気の毒です。コンビニ払いの仕方もわからない老人なので、もうお手上げですよね。自分も年取ったらどうしようって気持ちになります。

――介護は、多岐にわたるサポートが必要ですね。介護が加わったことで、仕事量など変化はありましたか?

村井:私は生活に介護が入ってきても、生活は全然変わっていません。基本的に9時5時でずっと仕事をしています。むしろ仕事量は年々増やしているくらい。エッセイを読むと介護が9割ぐらいに思われるかもしれませんが、実際は仕事が9割で、その合間に介護。

うちは9割介護保険制度の点数を使って外部の方に任せています。介護保険制度をいっぱいいっぱいまで使って、費用的には月々2人で7万から8万円くらい。負担は大きいですが、その分、自分の仕事をしている感じです。

――制度を使うことで、仕事は今までどおりにできていると伺って少しだけホッとしました。では、具体的にはどのような生活をされているのでしょう?

村井:義母は月~金曜日の9時から17時でデイサービスに通っています。80歳過ぎた人が学生みたいで大変だなと思ったりしますが、義母にとってはこれが今のベストの選択だと思っています。デイサービスに行けば、ごはんが食べられて、着替えができて、お風呂に入って、髪をとかしてもらって…ピカピカになって帰ってこられますから。自宅ではとてもできません

だんだん義父も慣れたのか、寂しいってあんまり言わなくなって、自分の仕事をしています。庭掃除したり。ただ、すごいうちに電話をかけてくるんですよ。私は定期的にブロックしてます。この前、壁に私の携帯番号が書いてあったから、マッキーで塗りつぶしてきました(笑)。