女性が厳しい対処をすると、「怖い」と思われる
「内なる批判者」を管理すると同時に、現実世界における組織的な偏見やマイクロアグレッション(無自覚の差別行為)、悲観論者からの否定をかわす必要もあります。
そんなときは、覚悟を決めて、あなた自身の物語からぶれることなく、過剰に説明したり中傷する人に勝たせたりするデフォルトモードに戻らないようにしましょう。
例を挙げさせてください。友人のハンナは、オンラインの小売会社で運営の仕事をしていて、ベンダー(売り手)に商品を出荷させて期日内に配達させる責任を負っています。
ある日私とランチをしていたときに、ハンナは同僚のひとりと交わした気まずい会話について話してくれました。それはあるベンダーについての会議のあとに起きたことです。
そのベンダーが期日を守らなかったので、厳しいやりとりをするはめになり、ハンナは、もしも対処を怠ればあなた方に責任を求める、と伝えました。会議が終わり、部屋から出ていこうとすると、親しい男性の同僚がハンナに向き直って首を振り、「きみ、おっかない態度だったねえ」とひと言。
ハンナはショックを受けて、「ごめんなさい。期日内に配達してもらわないと私たちが大変なことになるから、責任を追及する必要があったの…」と、口ごもりながら言い訳をしました。
とっさの自己弁護を手放す訓練
私はそこでハンナの話を止めて、こう言いました。
「信じられない、どうして言い訳するの? あなたが男だったら、その同僚はあなたにハイタッチをして『会議を盛り上げてくれたよ! やつらも大慌てだろう』と言ったでしょうね」
そのあと2人で、ハンナが同僚に対して、ほかの応じ方はできなかったかと話し合いました。「そうよ、私は威圧していたの。まさにそういう印象を与えるのが目的だったの」と切り返したり、「それは批判なの? ほめ言葉なの? もしも前者なら、お門違いだわ。後者なら、ありがとう」と同僚の意図を尋ねたりできたはずです。
なぜ私たちは自己弁護をするのがデフォルトなのでしょうか? そしてなぜ、ハンナは「おっかない態度」を否定的な批判だと決めつけたのでしょう? その会議でのハンナの対処には、なんの改善点もありません。男性の同僚がそれは違うと推論するなら、たてついてもいいのです。
『なめられない品格 誰からも信頼されるようになる8つの力』(飛鳥新社刊)では、ほかにも女性を抑圧するさまざまな原因をひとつひとつ取り上げ、そこから解放されるための手段を解説しています。ぜひ、読んでみてくださいね。