トレードマークのハイヒールと美しいグレイヘアでインタビューに登場してくれたのは、90歳の今も女優として第一線で活躍する草笛光子さん。現在公開中の映画『九十歳。何がめでたい』にて初の単独主演を果たし話題に。年齢を重ねるにつれますます輝きを増す草笛さんに、元気に過ごすための心がけや暮らしの楽しみについて伺いました。

椅子に座る草笛光子さん
草笛光子さん。「主演映画の撮影は『老いと億劫との闘い』。周りの力を借りて、なんとか勝利できました」
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草笛光子さんインタビュー。「女優としての人生をまっとうしたい」

両手を上げる草笛光子さん

「90歳だけど、元気は元気ね。血液検査なんかなにも問題がないんですよ」(草笛さん、以下同)

その言葉どおり、年齢を感じさせない美しい立ち姿でカメラの前に立ってくれた草笛光子さん。ときにはハイヒールで片足立ちをするというちゃめっ気も見せてくれました。

「健康の秘訣は? とよく聞かれますけど、たいしたことはしていないのよ。運動も自宅の階段を上ったり下りたりしているだけ。そうやってあるものを利用するのが私は上手なの」

なによりも大事なのは“生きがい”を持つこと 

そして運動や食事といった生活習慣はもちろん、なにより大切なのは“生きがい”をもつこと。70年以上にわたり、女優として第一線で活躍してきた草笛さんにとっては、やはり演じることが最大の生きがいです。

「できるのであれば、女優の仕事をまっとうしたい。ただね、私のあとから来る若い女優さんたちが気の毒ですから、ちゃんと譲ってあげなきゃとも思いますけどね(笑)」

120本以上もの映画に出演してきた草笛さんにとって、意外にも初の単独主演となったのが、作家・佐藤愛子さんの同名エッセイを実写化した『九十歳。何がめでたい』です。草笛さんが演じるのは、主人公の愛子先生。作家生活を引退し、うつうつと過ごしていた愛子先生に新たな執筆依頼が持ち込まれ、心のままに綴ったエッセイが反響を呼ぶ…というストーリーです。実在の人物を演じるにあたって意識したのは「どうしたら作家に見えるのか」。

「内面から醸し出される雰囲気や風格も表現しなくてはならないですからね。原稿を書いているシーンは一人きりでセリフもありませんから、さて、どうするかと悩みました。ですが、書斎のセットに座って顔を上げたとき、窓の外にゆらゆらと落ちていく黄色い葉が見えたんです。それがとてもきれいで、想像力が自然と湧き出てきました」