全国で料理講習会・講演会を行い、スーパー主婦として活躍する足立洋子さん。夫の急逝と子どもの独立で、およそ20年ひとり暮らしを続けながらも、70代の毎日を前向きに過ごしています。そんな足立さんが、自分がご機嫌になるための工夫をまとめた書籍『さあ、なに食べよう?70代の台所』(扶桑社刊)より、「暮らしやすくなる片づけ」などを紹介します。

足立洋子さん
料理家の足立洋子さん(72歳)
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愛着があるものも、家族と協力して手放した

足立洋子さんの寝室

50代後半に、「寝室をホテルみたいにしたい」と思い立ち、大きな洋服タンスと整理タンスを手放しました。今寝室にある家具は、夫と一緒に使っていたダブルベッドと、下着類を収納した小さなタンス、ベッド脇に置いたサイドテーブルのみ。

すっきりと片づいた寝室は、まさに理想通り。思った以上に大きな家具の圧迫感たるや、すごかったのですね。また、寝室も含めて背の低い家具ばかりにしたことで、地震などで家具が転倒する心配もなくなりました。

持参すれば粗大ゴミを処分してくれる施設があることを知ったことは、ここ最近でいちばんのヒットでした。父のお土産の立派な象牙や、古くなったお客様用のお布団類、壊れかかっていたスタンドミラーなど、「今の私に必要ない」と思ったものは、すべて処分してきました。

不要とわかっていながらも、愛着がありすぎて私の手ではどうすることもできなかった娘のお雛様と息子の五月人形も、ついにお別れを果たせました。なかなか手放せない私を見かねて、娘が「私たち自身が捨てるのだったらいいんでしょう?」とひと言。私がゴミ処理施設に行くときに娘と息子も一緒に来て、彼ら自身で自分たちのお人形を手放してくれたのです。手元に残したのは、私自身の雛人形のみ。

不用品を処分したら、自分の“好き”が凝縮された世界に

足立さんの書斎

私は決して、ミニマリストではありません。いたずらに「ものを減らしたい」とも思っていませんし、“持たない暮らし”を理想とはしていません。ただ、自分が好きなものだけに囲まれて暮らしたい。ひとり暮らしなら、自分次第でそれが実現可能です。ゴミ処理施設の存在を知って不用品を処分したら、ますます自分の好きなものだけに囲まれた世界になりました。

それは想像以上に心地よい空間。時間があるときは、お茶を淹れておやつも用意してセッティング。「ちょっと違うかも」と思ったら、お皿を替える余裕すらあります。そんなゆとりのあるひとときも、そういう時間を過ごしている自分も、好き。そうやって自分の“好き”を幾重にも重ねた空間に身を委ねることに、とびきりの幸せを感じます。

 

足立洋子さんの暮らしの工夫やひとり暮らしに役立つレシピ、53歳で夫を亡くし、立ち直るまでの心の動きを綴った『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社刊)は発売中です。

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