人生100年時代、ひとり暮らしをするシニアが増えている昨今、多くの人の暮らしに注目が集まっています。なかでも、今年104歳になった石井哲代さんの人暮らしぶりがたちまち人気に。哲代さんがここまでお元気な理由とは? 書籍『103歳、名言だらけ。なーんちゃって 哲代おばあちゃんの長う生きてきたからわかること』(文藝春秋刊)から、哲代さんの「食べる力」について、抜粋でお届けします。
老いてこそ必要な「食べる力」
食欲はすごいです。これが103歳(※執筆当時)かと思うくらい。
デイサービスは毎度、ごちそうを出してくれてんです。自分の好きなものが出ると気分が上がりますねえ。がつがつといただきます。十分に年をとっとるんだから、もう少しおっとり食べなさいって自分に言い聞かせております。
でもね、入院中は今までにないしんどさでした。心も体も空っぽになったようになって、よう覚えとらんの。食べられん、元気が出んの悪循環でした。じゃが病院で治療してもらううち、少しずつ調子が戻ってきたの。気持ちがはっきりしだして、ご飯の味が分かりだしたん。あ、まだいけるかもしれんって思えるようになりました。
食べなことには元気が補充できません
やっぱり家に帰るっていう目標があると、体がしゃんとします。この年になると、気持ちで体を引っ張ることが多くなりますなあ。少々しんどうても、好きな物、食べたいと思うもんをしっかりいただく。食べんことには元気が補充できませんから。
退院してからしばらく弥生さん(姪)ちでお世話になっておったんですが、畑でトウモロコシを育てよっちゃって、これが甘くておいしいの。「もう1本ようござんすか」なんて、居候のくせに厚かましくいただいておりました。するとどんどん力が湧きだして。おなかがすくようになったんでございます。
あら、そろそろ番茶の時間でございますなあ。一服しましょうか。おいしいお菓子があるんでございます。