画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。年金暮らしの小笠原さんは、自他ともに認める節約家で、1日1000円というルールで生活をしています。そんな小笠原さんの家には、ベッドや枕、キッチンマットといった、多くの人がもっているものをもちません。その理由と、どのように過ごしているのか紹介します。
すべての画像を見る(全5枚)あって当たり前のものをもたず、買わない暮らし
私の家には、普通の家庭にあって当たり前のものをもっていません。
たとえばベッドルームなのにベッドが。枕も敷布団もないのです。また、キッチンでは、シンクの下にマットも敷きません。リビングルームにもマット類は置きませんし、お風呂上がりの足ふきマットもありません。
まず最初に、敷布団がないということ。どうやって眠っているのかと思われるかもしれませんね。じつはこれまで使っていた敷布団を、“うっかり”処分してしまったのが理由ですが、その後、あえて買うことはしませんでした。
かつて実家を片づけたとき、布団が入っている収納から何組かの客布団を発見。廃棄してしまうよりは、自分が先で使えるかもしれないと思い、きれいそうな布団を自宅に運び、押し入れにしまいました。ところがいざ、押し入れから出して敷こうとしてみたところ、掛け布団しかなかったのです。「えぇ~!?」っと腰が抜け。座り込んで頭を抱えながら、調べもしないでしまい込んだこと悔やみました。
そしてしばし思案の後、やっとひらめきました。掛け布団は敷布団より幅が広い。これを三つ折りにして、敷布団カバーの中に突っ込めば、はい敷布団! おやすみなさ~い、というわけです。こんなわけで、ないものをあえて買うのではなく、あるもので代用できないか考え、過ごしているのです。
ベッドも、枕ももたず、ありあわせで代用
それから、ベッドも持っていないと申し上げましたが、ベッドルームなのに私が使っているのは、いわゆる“正式ベッド”ではないのです。過去に住んだ家のリビングルームに設置した高床の一部を寝台として使っているのです。かつて住んでいた家で広いフロアに凹凸をつけるためのものでしたが、引っ越しをしたら置き場を失い、今の家では寝床としました。ちょうど身長分あったことが幸いしました。それでベッドを買う必要もなくなったわけです。
そして、枕の代わりに使っているのがこのバスタオルです。規制の枕はどれも高すぎて、体に合わず、縦四等分、横三等分に折ったバスタオルの高さがぴったりだったからです。
高すぎる枕が体に合わないので、こちらがぴったりです。