プロに頼る、早めの老い支度…経験から得た教訓
すべての画像を見る(全2枚)――漫画内でも「プロに頼ること」を教訓として挙げられていましたよね。そのほかに「こうすればよかった」ということはありましたか?
西園:祖父母は90代と高齢なうえに、少しずつボケ始めたりして介護の必要性は感じていました。そのため、内科や総合病院などには通院していたものの、精神科には行かなかったんですよね…。経験しながら調べていくうちに、「ゴミ屋敷の背景にはなんらかの精神疾患が関わっている可能性がある」ことを知った。
「ゴミ屋敷化」という結果は同じでもその要因は多岐に渡るので、そこが分かっていたら、認知症だけではなく、また少し違ったアプローチの仕方があったのかも…。ただ、これは振り返った今だから言えることなので、当時はあれが精いっぱいだったという風にも思います。あとは、「老い支度は早めに話し合う」ことが大切ですね。
――具体的にはどのような“老い支度”をしておけばよかったと思いますか?
西園:すべて終わって振り返ったときに、もっと早く祖父母と関わっていれば、ゴミ屋敷化も、信頼関係ゼロから始まった介護もおそらく幾分かマシだったと思うんですよ。だから、少しでも様子を見に行って、部屋が散らかっていたらため込む前に少し片づけることが効果的かなと。ただ、もしそれでもゴミ屋敷になってしまったら人手やお金があればなんとかなる。
家族と“老い”について話すのは少しハードルの高さがあるし、だれもが「まだまだ若い」と思いたいとも思うんです。でも一気には話すのは無理でも、相続や遺言書の有無や施設や介護サービスの利用など、もしものときに少しずつ話し合うのが得策だと今回の経験を通して感じました。
『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』(扶桑社刊)では、西園さんが体験したゴミ屋敷と介護についてが描かれています。また、描き下ろし漫画と専門家によるお役立ちコラムも掲載。ぜひチェックしてみてくださいね。