日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「あんなかまってちゃんな男だとは思わなかった」と話すのは主婦の亜希さん(仮名・40代)です。運命を感じた王子様のような夫でしたが、キラキラした恋人時代の終焉とともに、平凡な日常生活の中ですれ違いが生じていきました。レスになってから、関係性が一気に悪化した経緯とは。

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「ドラマチックな出会い」は一瞬で終わり、面倒な夫が残った:セックスレス・40代亜希さんの場合1
夜泣き
夜泣きする赤ちゃんにクタクタ…※写真はイメージです
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夫の本質を見ないで結婚してしまった後悔

失恋の傷を癒すための旅行先で出会った運命の人。キラキラした恋人時代を経て、結婚した亜希さんでしたが、夫の本質的な部分はなにも見えていなかったと振り返ります。

「夫と結婚をして、思っていた以上に生まれ育った環境の影響って大きいんだなって思い知らされました。大学までずっと岐阜の親元で暮らしていた夫にとって、東京はあこがれの場所。そこでうまく時代の波に乗って仕事でも成功を収め、業界の人にもチヤホヤされて…。交際中は『すごく華やかな世界の人なんだな』って思いました。けれど夫には東京に腹を割って話せる親友がいなかった。ずっと寂しかったんだと思います。ただ妊娠中はこっちも余裕がないし、優しくできなくて。徐々に距離が開いていってしまった感じですね」と亜希さん。

第一子誕生。孤独な育児「ただがんばるしかなかった…」

結婚した翌年、無事に男の子が誕生しました。しかし、タイミング悪く、ちょうどこの頃から夫の会社で新規事業が立ち上がり、海外出張が激増したのです。

「夫にとっても待ちに待った第一子誕生だったのですが、正直、生まれた頃は子どもどころじゃない忙しさ。入院中も、生まれた日に1回面会に来ただけ。小さい会社だから育休なんてとれる雰囲気じゃないんだろうなとは感じていたけれど、私と息子が退院した翌日には普通に出社して、2週間後には1週間のヨーロッパ出張へ行ってしまいました。初めての育児なのに、もうずっと一人でがんばるしかない感じ」

赤ちゃんの夜泣きが嫌で、夫が寝室を出て行った

赤ちゃん
※写真はイメージです

もともと寝室にあったキングサイズのベッドに赤ちゃん用の小さな固いマットのベッドをくっつけて、3人で寝ていました。しかし、ヨーロッパ出張から帰宅した夫は、夜中に赤ちゃんが泣く頻度の多さにびっくりして、自ら別室で寝ることに。

「母乳育児だったので、3時間ももたずにおなかがすいて起きて泣いちゃう子でした。それで夜中にオムツを替えたり、うんちを失敗しちゃったときには掃除をしたり、朝まで通しではなかなか寝続けてくれない。夜中に赤ちゃんの泣き声で起こされると仕事に影響するといって、夫は一人で別の部屋で寝ることになり、そこから一気に会話も減りました」

当時はベビーシッターや地域のサポートを使うという選択肢もあまり主流ではなかったと振り返る亜希さん。目を離したら死んでしまうかもしれない赤ちゃんを前に、ひたすら睡眠時間を削ってワンオペ育児に奮闘しました。

「一時預かりなんかでもたまに事故のニュースを目にするし、他人を信用できないという本音もありました。普通はこういうとき、みんなお里帰りしたり、実家から自分の母が来てくれたりするんでしょうけれど、私の場合、母が若くして亡くなっていたので頼る人が本当にいなかったんです。お祝いをしに家に来たいといってくれた友人もいたのですが、もう自分がボロボロすぎてとても対応できない。断らざるを得ませんでした」